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ジョウゴ。
少し馬鹿で、抜けていて、ポケモンが大好きなぼくたちの幼馴染。
ジョウゴの家は少し特殊で ジョウゴ以外みんなポケモンに好かれる体質だ。
どれぐらいかっていうと、 ジョウゴのひいおじいさんの臨終の際どこからともなく現れたランプラーがその魂を奪い合って修羅場を繰りひろげたなんて逸話が町に残るくらいすごい勢いでポケモンに好かれまくっている。
シンオウからお嫁さんにきたというお母さんも例外ではないようで、一族の中で ジョウゴだけが普通。
別に普通っていうだけで才能がないわけじゃないからポケモンを手に入れれば ジョウゴは普通にトレーナーになって普通に旅に出るだろう。
だからこそ、ぼくは ジョウゴの家のしきたりに感謝している。
ジムリーダーになってしまった以上ぼくらはサンヨウシティからそうそう離れることができない。
ジョウゴが旅に出てしまえば、一緒にいることも難しくなってしまうから。
まあ一トレーナーとして ジョウゴとポケモンバトルしてみたいし、
なにより ジョウゴ自身がポケモンを欲しがっているからコーンみたいにあからさまに態度に出したりしないけど。

コーンはもうすこし自分を抑えるべきだと思う。
いつだったか、捕獲を邪魔し続けるコーンに ジョウゴがキレたことがあった。
あのときはぼくまでとばっちりをくって無視されたのだ。
いつまたあんなことになるかと思ったらハラハラしてしかたない。
ジョウゴの話では泣いても笑っても次のモンスターボール一球で全てが決まるらしいから、これが終われば結果がどうであれ少しは落ち着くだろうとは思う。
というか落ち着け。

「ライモン……観覧車……二人っきり……」

……うん、それよりも今は身内から出たの裏切り者についてだ。
隠れて協力してジョウゴの好感度あげるとか、ポッドは絶対やっちゃいけないことをした。

「コーン、夢の跡地で修行でもしてきたらどうかな」
「そうだね。タブンネに相手をしてもらいましょう」

ジョウゴ相手には加減を忘れてしまうことが多々あるけれどコーンは基本的に聡い子だ。
きっとぼくの言いたいことがわかるだろうと出した提案に、コーンは案の定小さな笑みをつくった。

「急にどうしたんだよ」

妄想から帰還したらしいポッドが一人ハテナマークを浮かべながら訊ねてくる。
どうしたもこうしたもない。
抜け駆け禁止は暗黙の了解だろうに。

「将来経営に行き詰ってリストラが必要になったときのための対策だよ」

コーンがおいしい水を、ポッドがそれを適温に、そしてぼくが上等な茶葉を。
これがサンヨウのカフェの定番だけどそこにはひとつ大きな落とし穴がある。
それは。

「コーンのヒヤップがねっとうを覚えればポッドはいらない子だから」
「!!」

衝撃をうけて固まったポッドをしり目に、ぼくはコーンとジムを後にした。
まあさっき言ったことは冗談だとして良好な兄弟仲のためには多少のケンカも必要なのだ。
三兄弟が故にケンカのとき2対1になってしまうのもしかたのないこと。

ジョウゴが知ったら呆れられるだろう。
でもまあそれは、それだけ ジョウゴのことが好きだっていうことで。

しかたのないことだよ、ね。