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「結局さー、今のところ彼女は新作で、俺は定番なんだよね」

ポテチのうすしお、マックのチーズバーガー、バニラアイスにショートケーキ。
新しい味が出ても人気は衰えず、必ず人が帰ってくる。
それが俺という人間だ。
今の彼女は発表されたばかりの新作商品。
勢いはすごいけれど、定着さえしなければいずれ人気は衰え淘汰される運命にある
事実低学年はさっさと飽きて彼女のいないところで今まで通りじょろじょろしているし。

「でも、新作を気に入る人間だっているでしょう」
「勘右衛門鋭いー。まあそういうことだからそろそろ俺も動くよ」

好意的な意見が多いまま一月二月と時が過ぎれば彼女も定番の商品に収まってしまう恐れがある。
六年生なんか彼女に夢中になってるしね。
ヘビーユーザーになる前に引き離さないとなぁ。

「五年生はどんな感じ?」
「見るに耐えないです」

兵助があんなに腑抜けるとはおもわなかったと顔を歪める勘右衛門。
どうやらこの間まで勘右衛門と一緒になって俺にひっついていたくせに彼女の元に行こうと誘いに来るのが耐え難いらしい。
不機嫌そうな面持ちの勘右衛門にうんうんとうなずいて同意する。

「みたらしばっか食べてた奴が他の商品にシフトして『おいしいから食べてみろって』とか押し付けてきたら非常に鬱陶しいものねぇ」
「さっきから食べ物がらみの例えばっかりですね。そういえばおなかすきました」

なら食堂にでも行きましょーか。
柚子の茶菓子の食べカスをそこいらにあった落とし穴に投げ捨てて、俺は勘右衛門の手を引いた。