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「何がちょっとした心理戦と情報戦ですか」
「もしかして怒ってる?」
「怒ってます。俺とのデートに支障がでるってわかっててやったんでしょう」

確かに前日に自分からデートという名の甘味屋巡りを提案しておきながらわざと攻撃くらって安静命じらた俺が悪いんだけど、始終背中にはりついて憎々しい視線を送ってくる勘右衛門すっごい怖い。

「俺、楽しみにしてたんですから」
「ごめーん」
「さっさとあの事務員さんのとこに行けばいいのに立花先輩なかなか離れようとしないし」
「作戦的にはそれで大成功なんだけどねー」

あの後俺は仙蔵の言い分を一切聞かず遠まわしに「仙蔵は俺の命よりあの人にプレゼントすることのほうが大切なんだろう」と罪悪感を刺激しまくった。
怒って喚いて泣きだしそうになっても「初々しいなー恥ずかしがっちゃってまあ」と笑う俺に『そうではない』ことを証明するため仙蔵は松芽さんとの接触を自ら断ったのだ。
松芽さんから引き離し意識を俺に向けるのが狙いだったので結果は上々。
俺は仙蔵がべったりな今の状態に満足していて気分爽快、すっきり晴れやかなのだが勘右衛門は以前に増して仙蔵の俺依存度がアップしているのが気に食わないらしい。

「機嫌なおしてよー、今日は一日勘右衛門と一緒に過ごせるから、ね?」

未だ完治にはほど遠いがぶらぶらするお許しは出たのだ。
さっさと出門表にサインしてデートに行こうと足早に門へ向かう

が、残念。

大きな門の前に見える小さな影に俺は一気にテンションが下降するのを感じた。
あれ、どう見ても松芽さんだよなぁ。
仙蔵のこともあるし反応が気にならないっていったらウソになるけどそれにしたって遊びに行く前に会いたい相手ではない。
小松田さんよ、どーして唯一できる仕事新人に譲っちゃってんのさ。