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 CP9の殺戮兵器の機微を凡人が理解しようだなんて一生かかっても無理なことかもしれないが、それでも一応努力はしてきた。なにせ立場は違えど勤務地は同じ。むこうが任務で島を離れているとき以外は強制的に活動範囲が重なってしまうのだ。
 仕事でならまだしも一応は同僚であるロブ・ルッチの機嫌を損ねて命を落とすなんて馬鹿馬鹿しい真似はしたくない。そうなる可能性があって、回避できる可能性もあるならできる限りのことはするべきだ。
 直接あれこれ聞くわけにもいかないから鬱陶しがられない程度に少しずつ、時間をかけて観察し好悪のパターンを把握していった。一般職員用の狭い部屋の本棚には趣味の小説に加えて動物の図鑑がずらりと並んだ。もちろん主にネコ科のものだ。
 そうして関わる際には可能な限り気を配って接しているうちに、近づきたいわけではなかったはずなのにやけに距離が縮まってしまった。
 それが嫌というわけじゃない。ないけれど、なんというかーーああ、とにかくこれから休み返上で豹が唇に噛みつく理由が図鑑に載っていないか隅から隅まで調べなければ。
 機微を理解できない相手に理解できないまま惚れるだなんて本当にそれこそ馬鹿馬鹿しいというのに、噛まれた唇は痛いし心臓も痛いしページをめくる手は震えっぱなしだし、いったいなんの冗談だちくしょうめ。