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吾輩は船である。
名前はカタパルト号。
そしてただの一潜水艦に過ぎないおれの中にありったけの武器を詰め込み巨大な体躯には狭苦しいであろう僅かなスペースをのっしのっしと歩いている男がおれの相棒であるダグラス・バレットだ。
バレットの1日は基本的に規則正しい。
朝日の拝めない海底でも必ず決まった時間に目を覚ますし食事は自分で獲った海王類の肉をたっぷり、あとはトレーニングをしてシャワーを浴びれば一日が終了。
なんて面白みのない。
ストイックにもほどがある。
バレットを相棒だと認識した瞬間から仲間の笑い声が溢れる優雅な海底遊泳なんて望むべくもないのだと理解はしていたがそれにしたってあんまりじゃないか。
唯一の楽しみは日光を浴びるために浮上した際おれの上でバレットが寝転がり昼寝をする時間だが、それだってあんまり気持ちのいいものではなかった。
なにせバレットときたらおれの上でまどろみながら他の船で過ごしたころの夢を見るのだ。
そのときのバレットはいつもとは少しだけ雰囲気が違っていてーー怒っているのか悲しいのか嬉しいのかはわからないけれど、バレットが夢見るたびよっぽどその船にいたときが特別だったんだろうと思い知らされる。
おれはきっとバレットの本当の意味での特別にはなれない。
いかに相棒を自負していようと丸出しの腹に毛布をかけてやることも、寝言で漏れるろじゃーという名が誰のもの知ることすらなわないのではしかたのないことだろう。
今日も明日も来たる日に向けたバレットの規則正しい一日は続いていく。
所詮船でしかないおれには、くやしいけれど太陽の下で見る在りし日の夢が少しでも長く続くよう、大きな波の揺れに耐えてやるくらいしかできないのだ。