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なーんでこんなことになってんのかなぁ。
バスタブの淵であっても王座と変わらず態度のでかいパンツ姿の若と、その足元に跪く俺。
そして手には剃刀とボディーソープ。
これが夢なら悪夢だって断言できるような状況に、現実逃避がてら事の経緯を振り返ってみる。

二日前の夜賭場で健全に荒稼ぎした帰り、美人のおねーさんに絡まれたから一緒に飲んで金握らせてそのまま帰ってきた。
のを、どうも誰かに目撃されたらしく「アルバって不能なんじゃね?」という不名誉な噂が若の耳に入り、面白がった若がドストレートに「どうなんだ」と尋ねてきたため全力で否定。

「ただ単に好みじゃなかっただけっすよ」
「聞いた話じゃあ結構なイイ女だったらしいじゃねェか。それが好みじゃないとなると……ガキか?男か?」
「いやいやいやいや」

自分の性癖を暴露するつもりなんて毛頭なかったがこりゃそんな悠長なこと言ってられない。
楽しそうにフフフ笑いしてる若の言葉が本気か冗談かはわからなかったがちゃんと説明しとかないと明日の朝には噂が超進化しそうな予感がする。

「俺ね、足が好きなんですよ。足フェチ。昨日の女は無駄肉つきすぎっつーか、もっと筋肉あってシュッとしてないとそそられないっつーか」

へェ、ならおれの足はどうだ。
ははは、若すね毛生えてるじゃないですかぁ。

そんな流れからの今である。
意味がわからない。
あの時すね毛云々じゃなく「男じゃないですか」っていえばこの状況回避できたのかなぁいや別に男でも足さえ好みならいけるけども。
天下のドンキホーテ・ドフラミンゴ相手に剃毛プレイとか……こわいわー……。

「ほらどうした、好きにしろよ」

身長に見合った長い足を見せつけるように動かす若。
ぶっちゃけた話すね毛なんかあろうがなかろうが若の足はひっじょーに魅力的だ。
とても好み。
舐めまわしたい。
他の奴ならそりゃあツルッとしてたほうがいいんだけど若の場合ほら、後ろから見た時ピンクのもさもさから毛ありの足だけ出てるの愛矯あってグッドじゃん?
だからさっきの受け答えはあくまで「同性からそういう対象として見られたら気持ち悪いよなぁ」っていう配慮の上での冗談で、実際はあれだよ、今の若は絶世の美女が股開いてカモンしてんのと同じだよ。
俺噂と違って不能でもなんでもないんだからこの状況結構つらいんですけど。
相手が七武海で国王で若じゃなかったらとっくに喰ってるぞこんな据え膳。

どうしたものかなぁと悩みながらとりあえずボディーソープを泡立ててマッサージがてら足を洗う。
骨に沿って力を加えると存外気持ちよかったらしく強張った筋肉から力が抜けた。

「フッフッフ!慣れてやがるなァ……変態が」
「否定はしないですけどー」

それを進んでやらせてる時点でブーメラン発言だとは思わないのだろうか。
下手に突っ込んで不興を買うとヤバいので思考を切り替えて目の前の足に集中する。
にゅるにゅると土踏まずや指の隙間をもみ込むと途端に若の口数が少なくなった。
くすぐったいならそう言えばいいのに変なところで我慢するんだなぁ。

「くすぐったいですか?」
「いいや?なにも感じねェなァ」
「へー」

なんともないふりをする若に少しばかりいじわるな気持ちになって足裏を軽く爪で引っかいてみる。
びくりと跳ねた足に視線をあげると若は微妙な顔をしていた。
多分困惑だとか羞恥だとかそういったものを隠していつも通りに笑おうとしたのだろうが、失敗してなんともいえない表情になっている。
はっきり言おう、エロい。
足いじられてくすぐったがってる若めちゃくちゃエロい。
くにゅくにゅ弄るたびに小さく漏れる吐息と仄かに色付いた首筋は俺に「もういいか」と思わせるのに十分な興奮をもたらした。
もういいか。
言質はあるんだし。
誘ってきたのは若なんだし。
もういいか。

「若」
「なんだ」
「好きにしていいんですよね?」
「なにッ……!」

今までとは違った意図を持って指で足をなぞる。
制止をかけられる前に内腿をべろりと舐めると慌てたように頭を掴まれた。
これ何も知らないやつが見たら俺が若のを銜えてるようにしか見えないだろうなぁ。
本当にそうしてやってもいいんだけど、俺から手を出すのはさすがにまずい。
さっき笑いながら剃刀放り投げてきたみたいに若の方から指示を出してくるまで、もうちょっとおあずけだ。

「アルバ!てめェ」
「我慢できなくなったら言ってくださいねー」

桶に用意していた水で泡を流し準備おーけー。
徹底的に焦らしまくってやる。
か弱い乙女でもないんだから嫌なら暴力なり能力なりで止めてくるだろう。
足フェチの男相手に自分の足を餌にして遊ぼうとしたうえ妙にエロい反応しちゃう若が悪い、うん。

「せっかくなんだから楽しみましょうよ、ねぇ」

若、と声をかけると返事をするように爪先が震えた。