「若は、なんで靴下をはかないんですか?」 脱ぎ散らかした服を着ることもせず互いの体温を楽しみながら過ごすベッドの上でアルバが吐いた言葉にドフラミンゴは一瞬の間を置いて盛大にため息をついた。 前々から思ってたことですけど、と神妙に前置きされ聞かされる話の内容に身構えていた自分が馬鹿みたいだ。 もしやからかわれているのだろうかと見極めるように目を眇めるもアルバの表情は至って真面目かつ怪訝そうなもの。 先ほどの質問が本心からだと理解してドフラミンゴは顔から枕に沈み込んだ。 「どうかしました?」 「どうもこうもねェ……なんなんだいきなり」 足フェチだというのなら足を隠すものなんて邪魔なだけだろう。 いつもはいているのが気にくわないというなら話題に出るのもわからないではないが、はいていないことを疑問に思う意味が分からない。 それも前々からとはどういうことだ。 ドフラミンゴが素直に思ったままを告げるとアルバがへらりと笑みを浮かべた。 「いやー、胸や尻の大きい女が好きだからっていって下着姿が嫌いとは限らないというか」 「つまりおれに靴下をはけって言いてェのか」 「はいてくれます?」 「フッフッフ!断る!」 なんでですかぁ、とあからさまに残念がるアルバを無視して背を向ける。 するとすぐさま上半身を起こしたアルバに肩を掴まれ引き戻された。 少なくとも理由を聞くまで諦める気はないらしい。 面倒な男だ。 他のことなら大抵は聞き分けよく諦めるくせにドフラミンゴの足に関してはなあなあで済ませることがない。 それを少なからず嬉しいと感じる自分に嫌気がさして、ドフラミンゴはむすりとした態度で口を開いた。 「……嫌いなんだ」 「へ?」 「足が温もると眠くなって思考が鈍るんだよ」 だからはかねェ、と言いきるとアルバが肩を放した。 やけにあっさり引き下がったなと違和感から視線をやると、目に入るのは真剣な顔のアルバ。 そして、明らかに主張している股ぐらのそれ。 「若ってときどきあざといくらいカワイイこと言っておれを煽りますよね」 「フフッ、お前はときどきわけのわからねェところに反応しておれを戸惑わせやがるなァ……!」 ドフラミンゴが状況を把握すると同時に覆いかぶさってきたアルバを手で押し返して抵抗するも、ノーと言う前に唇をふさがれ流される。 いつも足にばかり構うアルバのがっつくようなキスに、ドフラミンゴは驚くほど弱い。 息継ぎの合間に「次は靴下用意してきます」と微笑まれて拒否できなかったのはある意味当然のことだった。 |