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最高潮に盛り上がる宴の最中、二人きりで静かに過ごす時間と場所を得るために主役であるエースと目配せを交わし時間差で席を立つ。
ある程度勘のいいやつにはバレバレだろうがだからといって宣言して抜ければからかわれて半ば晒し者のような状態になるのは確実だ。
おれはともかく若いエースにそういう手合いのからかいを躱したり捌いたりを求めるのは少し酷というものだろう。
まったく、賑やかな大所帯では恋人との甘い時間を過ごすことすら一苦労である。

「おまたせ」
「いや、別に、待ってねェよ」

手筈通り落ち合う約束していたエースの自室に入ると先に行って待っていたエースがパッと顔をあげ、少しぎこちない足取りでそろそろと近寄ってきた。
自分の部屋なのだから適当に座っていればよかったのにずっと立ったままでいたらしい。
やはりうぶというか、緊張しているのが丸わかりだ。

「本当に待ってないか?おれはずっと待ち焦がれてんだけど」
「えっ!?」

少しキザなセリフを吐いて慌てるエースの唇を軽く奪えばわかりやすく肌が赤くなり興奮で息が乱れる。
可愛らしい反応を心に焼き付け、しかしじっくり観察することはせずその呼吸が整う前に再度唇を重ねた。
硬直する身体を抱え込み徐々に弛緩するのを支えて舌を吸い、上顎を擽り口内を蹂躙していく。
そうして長い長いキスを続け、日付が変わったことを示す花火が打ち上げられようやく顔を離したころにはエースは海楼石に触れているみたいに全身の力を失いくったりとしていた。

「誕生日おめでとう、エース」

「お前の誕生日を聞いたときからこうして過ごしたいと思ってたんだ」と笑うと甘くとろけた瞳をうるませ普段の強気が見る影もなくなっているエースが「それ、家族になるまえじゃねェか」と呆然としたように呟いた。
その言葉に家族になる前、手負の獣のような鬼気迫るエースを思い出して喉から笑い声が漏れた。
そうなんだよエース。
実はお前はそんなころから狙われてたんだよ、うぶでかわいい俺の恋人!