もしかして恥ずかしがっているだけかも、と強引に抱きしめたら突き飛ばされた上にマグマ化された。 10秒。 それがサカズキが許容するおれとの接触時間の限界点であると思い知ったこの絶望たるや、言葉で言い表せるものではない。 本人にその意図がなかろうと海賊との交戦中に命を救われて恋に落ち、熱烈にラブコールしてはマグマで焼かれかけ、それでも諦めずアタックし続けてようやく恋人の座を射止めたというのにいちゃいちゃすることすら許されないなんてちょっと酷すぎやしませんかサカズキさん。 「……いつまでそうしちょるつもりじゃァ」 床に転がったまま立ちあがらずにべそべそしているとマグマをひっこめたサカズキがほんの少し気まずそうにしながら近づいてきた。 自分が突き飛ばしたのに謝らないし、手も差し出さない。 それでもおれを置いて一人でどこかへ行こうとはしないあたり少しは好いてくれてるんだろうかと思う。 「サカズキ、好き」 「……ふん」 いまはまだ素っ気ないけど、いつか同じ気持ちを返してくれたらいい。 そう願いながら、まだほんのりと熱を漂わせるサカズキを見つめた。 |