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サンジがものすごくぶすくれている。
それ自体はまあ、昔からおれやゾロが成り行きで女の子と仲良くなると「なんでテメェなんかとあんなに麗しいレディが!」と怒り狂うのでいつものこと。
おれは出会ったときからサンジ一筋なので誰と仲良くなろうが恋愛的には関係ないのだが、サンジにとってはそれこそ関係ない話だろう。
問題は今回の一件においてサンジが勘違いをしているということだ。
なにせおれが街で仲良くなってビブルカードを受け取ったのは紛れもない男であってサンジの大好きなレディじゃない。
今回に限ってはサンジが怒る理由がないのである。

「なあサンジ、さっきも言ったけどこのビブルカードくれたのは正真正銘の男だ。髭生えてたし胸も曝け出してたから前みたいに男装した女の子ってこともない。お前が機嫌悪くする理由にはならねェだろ?」
「……うるせェ」

このままでは晩飯がおれのぶんだけ栄養たっぷりの激マズ料理になってしまうと懇切丁寧に説明しても想い人の機嫌はなかなか上を向いてくれない。
それどころか途方にくれて頬をかきつつ「なんで怒るんだよ」と呟いたらぐるぐる眉を釣り上げて額に青筋を浮かべたサンジに胸倉を掴まれた。

「おれも、男だろうが……!」

そんな今更なことをいわれても、おれはいったいどうすればいいのだろうか。