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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「いい加減にしねェと、そろそろ怒るぞ」

歴代の恋人の間でも鬱陶しいと評判のスキンシップにむすっと不機嫌そうなーーおれから見れば照れているようにしか見えない顔で抱き込んだ腕の中から抜け出そうと抵抗ともいえないくらいのかわいらしい抵抗をするクザン。
そんなクザンの態度をはいはい照れ隠し照れ隠しといつものように流しかけて、ふと先日彼の部下から聞いた話を思い出した。
『大将青キジは面倒臭がりだから、裏のある言い方なんてしませんよ』
部下にまでオブラートに包まれることなく直球で面倒臭がりと評されている問題は置いておいて、おれがずっと天邪鬼だと思っていた物言いはもしかしたら本心からの言葉だったのだろうか。
怒るぞという割に本気で怒られたことがなかったためこれまで全く気に留めていなかったのだが。
ふむと癖の強い髪を撫でくりまわしていた手を止め、素直に「ごめんな」と謝って体を離すと一瞬何が起きたかわからないといった顔でぽかんとしたクザンからじわじわと冷気が漏れ出してきた。
さっきの不機嫌顔はやはり演技だったのだとわかる本気の不機嫌だ。

「どうしたクザン、怒ったのか?」
「……別に、怒ってねェよ」
「ヒエヒエしてる。怒ってるだろ」
「怒ってねェ」

やりとりの間もどんどん強まる冷気になんだやっぱり天邪鬼じゃないかと笑って冷たい体を再度腕の中に閉じ込める。
冷たいでしょうやと呆れたように言いつつしっかり人の体温に戻っていくクザンの言葉は、どうやらこれからも信用しなくてよさそうだ。