「おいアルバ!おどれ、これはなんのつもりじゃァ……!」 「ぶっフはははは!!なに素直に着ちゃってるんですかサカズキさんかわいっひひひひひヒヒ!!!」 「笑うな!!」 シャワーを浴びてほかほか状態で出てきたサカズキさんの姿にヒィヒィと笑い転げて枕を叩いていると恐ろしげな怒声と共に赤い三角帽が投げつけられた。 そう、おれが先ほど着替え置いときますねーと脱衣所に置いておいたのは白いもこもこの縁取りが付いた赤いガウンとお揃いの赤いズボン、そしてこの三角帽。 いわゆるサンタさんコスチュームなのである。 身体を拭う小さなタオル以外身に纏えそうなものは全て回収しておいたからファンシーなそれを着る以外選択肢がなかったのだろうが、それにしてもまさか本当に着てくれるとは。 全裸で出てきて即マグられるくらいは考えていたのに、この人はなんだかんだでおれに甘い。 「っあー、思った以上に似合っててヤバいですね。腹いてェ……ひげも用意すりゃよかったなァ」 「おどれはそがァに殺されたいんか」 「女もののミニスカサンタ選ばなかっただけマシだと思ってくださいよォ」 クリスマスらしいことしたかったんですと自分の頭にトナカイのカチューシャを装着し悪びれることなくベッドの上へ手招くとサカズキさんは汚物を見るような目でおれを睨みながらずかずかとこちらへ近寄ってきた。 こんな悪鬼みたいな顔のサンタ見たら子供は泣くだろうな。 おれは俄然興奮するけど。 「はーいじゃあサンタさんはトナカイさんの上に乗ってくださいねー」 「……サンタが乗るのはソリでトナカイはそれを引いちょるだけじゃろうが」 「細かいことはいいんですよ。あ、サンタさんノーパンだ。やーらしい」 「ッおどれが、どこぞに隠しよったせいでのう……!」 青筋を浮かべながらも体中を這いまわる不埒な手に反応してくれるサンタさんにおれの息子も大喜びだ。 来年はぜひ衣装を逆転して楽しみたいものである。 |