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「#幼馴染」のBL小説を読む
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他人に晒したがらない過去の傷を酒の勢いに任せて吐きだしたのはおれを心から信頼し、慰めてほしいと思ったからなのだろう。
父親と弟の死様を哄笑に乗せて語ったドフラミンゴの顔はどう見たって笑ってなんかいなくて、決められた流れのように優しく抱きしめてやれば案の定ふるりと小さく震えた後ようやく拠り所を見つけたとでもいうふうにゆっくりと額を預けられた。
悪のカリスマと呼ばれる七武海にしてドレスローザ国王であるドフラミンゴ。
華々しく薄暗い立場に相応しく常に暴力的で魅力的な男がお前だけは裏切ってくれるなと弱々しく縋ってきたら余程のクズでない限り生涯をかけて守り、慈しみ、支えてやりたいと思うに違いない。
つまり。
短く整えられた金髪を撫でまわしながらぼんやりと考える。
そう、つまり、ドフラミンゴの弱々しい姿を見て庇護欲どころかそれほどの傷をつけたドフラミンゴの肉親に対し羨ましいと感じてしまったおれは正真正銘『余程のクズ』というわけだ。
父と弟に向けたという死をもってしか許されないほどの激情を、一生消えない傷をこの手で与えたい。
守って慈しんで支えてやって、おれに依存しきった最高のタイミングで命を賭けて裏切ってやりたい。
否、裏切って『やろう』。
そう心に決めたことはおくびにも出さずこんな最低なクズにひっかかってご愁傷さまと口に出す代わりにそっとサングラスを奪いとると、おれは愛しくてかわいそうな男の瞼にキスをした。





***

「――お前だけは、許さねェ」

あの日感じた欲望のまま手酷く信頼を裏切ったおれに、しかしドフラミンゴは最後まで銃口を向けることはなかった。
泣き笑いの強張った表情。
引き攣れたような無様な声でおれの死を、許しを拒んだ哀れな男に今度こそ真綿のような温かい愛しさが募る。
ドフラミンゴはもう二度とおれを信じないだろう。
けれど、おれのために傷ついたかわいくてかわいそうなドフラミンゴとなら今度こそきっとうまくやっていけるような。
そんな身勝手で確信めいた予感に自然、唇は緩やかな弧を描いた。