×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

「よお先生、邪魔するぜ」

一般よりかなり大きめの、しかし男からすれば少しばかり小さく感じるであろう診療所の扉。
それを潜りながら上機嫌に笑い声をあげるピンク色の男ーードンキホーテ・ドフラミンゴに「体調不良でないなら帰れ」と返すと一瞬笑い声が止まり、次いで笑みが深まった。
面白くないときにも笑うの何かのポリシーなのだろうかと考えながら手の中のペンをくるりと回す。
もし相手を威圧して優位に立つためなら失敗だろう。
少なくともおれの目にはドフラミンゴが自分の思い通りにことが運ばず駄々をこねている子供にしか見えなかった。

「フッフッフ……随分つれねェじゃねェか!あんたが顔を見せねェからわざわざこっちから出向いてやったってのに」
「用もないのに診療所を空けるわけにはいかないからな。それで?天下の七武海様は、わざわざ、こんなしがない診療所に何の用だ」

当てこするように「わざわざ」を強調し、用がなきゃ来ちゃいけねェのかと笑うドフラミンゴに当然と大きく頷くと額に青筋が浮いた。
スッと手をかざされるのと同時、身体がピシリと固まり能力を使われたことを悟る。
いくら余裕を取り繕ったところで結局はこうなるあたりドフラミンゴは本当に子供だ。
そしてそんな癇癪持ちの子供のことがおれは存外嫌いではない。

「ドフラミンゴ」

窘めるように静かに名前を呼ぶと、嫌われることを恐れてか自由を奪っておいてそれ以上なにも出来ずにいたドフラミンゴは舌打ちとともに能力を解除した。
苛立たしげな様子にやれやれと肩を竦め、自らの意思でドフラミンゴに歩み寄る。


「構われたいならきちんと準備して、夜においでーードフィ」


扉に向かってエスコートしつつ囁くと笑みを消したドフラミンゴがぶるりと身を震わせた。
まったく。
正体を知らずに抱いたとはいえ、随分な大物を落としてしまったようだ。