「一番カッコいいってことはつまり、ルフィ先輩の伝説をここで再現すればいいんだべ?」 「お前がそう思うならそうなんだろ」 「ならさっそく…あ、でも常に輝いてらっしゃるルフィ先輩の『一番』なんてとてもじゃねェが決めらんねェべ…」 「……全部一番なら逆にどんなポーズでも開くんじゃねェか」 「おお、確かに!」 しゅんとしたのも束の間、おれの適当な考察にすぐに納得してうおおおおと馬鹿っぽい雄叫びをあげながら左腕を天高く突き上げたバルトロメオに溜息を吐く。 眼鏡をかけていて頭がよさそうだから海図も読めるだろうなんて意味不明な理由で拉致された時には本気でぶっ殺してやろうかと思ったが、それより更にイラつくのがこいつのこういうところだ。 人の人生を好き勝手に狂わせたくせルフィ先輩ルフィ先輩と会ったこともない海賊を崇め奉り傍にいるおれをかえりみようともしない。 別に麦わらに向けるような胸やけ必至の好意を寄越されたいわけではないのだけれど、しかし、もう少しどうにかならないのかともやもやするのは仕方のないことだと思う。 「アルバ、開かねェ!角度か?角度が悪ィのか!?」 「知らん」 おれの苛立ちなど知りもせず騒ぎたてるバルトロメオに眉を寄せ、ずれてきた眼鏡を中指で押し上げるとカチャリという耳に慣れた音がやけに大きく部屋に響いた。 と、一瞬静かになったバルトロメオがパッと顔を輝かせ「それだべ!」と声を弾ませておれの眼鏡を奪い取る。 「おい、何を……!」 カチャリ。 急激な視力の低下によろめくおれの耳に眼鏡を押し上げる音が聞こえ、直後ぼやけた視界に真っ白な光が映りこんだ。 扉が開いただと? まさか、なんで。 「ルフィ先輩とは違ェが、アルバもインテリでカッコいいから当然の結果だっぺ!」 呆然とするおれに向かいバルトロメオがなぜか自慢げに言い放つ。 色々と理解が追い付かなくて頭が痛むが、お前はとりあえず眼鏡を返せ。 |