「好きです。私は、あなたのことが」 好きなんです、と付け足して俯くペルの秘密を告白するというより罪を懺悔しているかのような神妙な響きの声。 それに対して「うん知ってる」と軽く返すとペルがぴしりと固まったが問題は閉じたままの扉の方だ。 お互い知られても構わない、秘密というほど重要でない情報をいくつもやりとりしてそれでも開かない扉に半ば自棄気味に腹を括ってくれたペルだったが、残念ながら相手が知っている事柄はノーカウントになってしまうらしい。 最初は苦手な食べ物でも教えればすぐに出られると思っていたのに、なかなかどうして判定がシビアである。 どうしたものかと首を捻り、まあとりあえずその前にさっきの『告白』の返事をしておこうかと口を開く。 「おれもペルのこと好きだよ。ペルがおれを好きになる前から、ずっと」 は、と呆けたような顔でおれを見つめるペルに笑いかけた瞬間カチャンと鍵の開く音がして扉の隙間から細い光が差し込んだ。 秘密にしているつもりはなかったのだが、はて。 |