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「#幼馴染」のBL小説を読む
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おそらく夜中にふと目が覚めて隣の体温を感じたとき、今回も大量につけられたな、とぼんやり思ったことと自分で擦り寄ってきながら髭に当たると擽ったそうに息を漏らすアルバに悪戯心がわいたのが原因だろう。
昨晩モモンガは、きっちりと被っていた布団をずらして眠るアルバの素肌に唇を寄せ、首筋から胸にかけていくつも赤い痕を残した後満足して眠りについた。
そしていま、そのことを猛烈に後悔している。

「昨日のモモンガさん、すごい可愛かったです」
「アルバ」
「いや、可愛いのはいつものことなんですけどね?くすくす笑いながらキスマークつけてたまに胸のあたりでじーっとしたり髭ですりすりしてきたり、なんですか、もう一ラウンドしたかったんですか?そのわりにおれが襲おうとしたら『よし』って言って寝ちゃうし、なんですか『よし』ってなにに満足してたんですか可愛いなァもうモモンガさんほんと腹立つぐらいかわいい」
「……アルバ」
「だからね、しかたないと思うんですよモモンガさん午後から仕事で身体休めたいってのは理解できるんですけど昨日あれだけ煽られて放置されたら我慢するとか普通に無理でしょ?つーかここまで我慢できたのが奇跡ですから。悪いモモンガさんに誘惑されても一晩頑張っていい子にしてたおれにご褒美くださいよ。ね、モモンガさん」
「アルバ!」

三度目の呼びかけに返ってきたのは「ごめんなさい」というモモンガに無体を強いることを前提とした恐ろしい言葉だった。
仕事中にも勝るとも劣らない真剣な顔をしたアルバがよどみなく喋りながら器用にモモンガの情痕を増やしていく。

「モモンガさん……モモンガさん大好きです、愛してますモモンガさん」

髭で隠れた唇に何度もキスをされ、モモンガはため息をついた。
アルバは若い。
そして趣味の悪いことにモモンガのことを、心の底から愛してくれている。
こういった暴走の懸念があるからこそこれまで自制していた甘えた行為をまさか寝ぼけてとってしまうとは。
無意識とはかくも恐ろしく、忌々しいものである。