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ロブ・ルッチという男はもしかすると繊細な感情の表現方法を知らないだけで本質は普通の人間と大して変わらないのではないか。
半年ほど前ルッチから突然イエスオアデッドの告白を受け喜びに咽び泣きながら彼の恋人に志願したおれは最近になってよくそんなことを考えるようになった。
どういう経緯であれ恋人になったのだからと色眼鏡をはずしてじっくり観察した結果、信じがたいことにルッチが純粋におれに好意を抱いてくれているようにしか思えなかったからだ。
CP9最強の殺戮兵器はただの一般職員にすぎないおれを、少なくとも『恋人』として拘束したいと思う程度に気に入っている。
そこまではなんとか理解して受け入れていたが正直これは予想外だった。
昨日今日と連続して異常に機嫌が悪かった理由が、まさかおれが『ルッチの誕生日を祝わなかったから』だなんて。

「あー…その、な、ルッチ。来年はちゃんと用意するから、そろそろ勘弁してくれないか?」
「……来年?」
「そう、来年」

結局一日遅れでおめでとうは伝えたもののプレゼント一つ用意していなかったせいでルッチに全身あぐあぐ噛まれ続けて一時間。
さすがに身体が痛くなってきて情けなく許しを乞うと脇腹に顔を埋めていたルッチがふと顔をあげた。

「……来年もこれでいい」

端整な顔にニヤリと悪い笑みを浮かべるとおれのお願いをなかったものにして噛み跡をつける作業に戻ったルッチは、とりあえず来年もおれと誕生日を過ごしてくれるつもりらしい。