×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

まず言い訳をすると、あのときのおれはパニックになってたんだ。
だって仕方ないだろう?
大量の書類を持って廊下を急いでたら曲がり角の先に七武海がいるとか、誰が思うんだよ。
それも七武海会議真っ只中だぜ?
一人でふらふらするの許したやつは土下座しておれに謝るべきだ。
……と、まあ、向こうはしっかり気配を察知して立ち止まってくれていたようだが如何せんおれはただの下っ端。
気配とかわからないし、わかったところで緊急回避なんぞできるはずもない。
案の定突然視界に入ってきた相手を避けきれなくて正面からぶつかった挙句書類をぶちまけちまった。
で、謝ろうと思って、自分よりかなり背の低い男を見たらあれだ。
鷹の目。
こんなドジをやらかす海兵が存在することに驚いたのか、目ェ見開いてこっち見てる鷹の目。
それがなんかこう、睨んでるって感じじゃなくて、ちょっと顎上げて見上げてる感じがまるで上目づかいみたいで、ほら、猛禽類の目って猫に似てるじゃん?猫ってかわいいじゃん?
おれ、猫派なんだよ。
実家でも何匹も飼ってたんだよ。
緊張して焦って怖くて慌てて、それで。

「かっわいい……!」

言っちまったよ、言っちまったんだよ。
鷹の目の反応?
もっと目ェ見開いたよ。
可愛かったよ、クソが。

まあそれで、あとは今日見た通りだ。
おれみたいなちょっとでかいだけの下っ端忘れてくれるはずだって信じてたのに、あれからちょいちょい話しかけてくるんだ、鷹の目。
おれの前で立ち止まって、上目づかいで「今日は言わないのか」って。
どうすんだよ、どうすりゃいいんだよあれ、おかしいだろ、なんであんな可愛いんだよチクショウめ!