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「わしゃァ、浮ついた男は好かん」

一区切りついた仕事の合間。
呼び出された部屋で厳めしい表情のサカズキさんにそう告げられたおれは、ただ一言「わかりました」とだけ口にした。
おれがもっと食い下がると予想していたのかホッとしたように肩の力を抜いたサカズキさんを見て思わず苦笑する。
酒の勢いでサカズキさんに告白し、強引に恋人の座をもぎ取って三ヶ月。
本当は泣いて縋りついてでも別れたくなんてなかったが、ここまではっきりと嫌悪を示されてしまっては最早諦めるほか道がない。
鈍くなった頭のなか、片手間で終わらせずこうしてきちんと時間をとってくれたことに感謝するべきなのだろうと考えたおれはサカズキさんから逃げるように目を伏せた。

***

その日の夜、友人を付き合わせて自棄酒を飲んでいる最中サカズキさんが「舌の根の乾かんうちに何しちょるんじゃワレェ!!」と自宅に殴り込んできたことで真相が発覚。
どうやらサカズキさんのあれは別れ話ではなく自分という恋人がいるのに他の人間と必要以上に親しくするなという意味のものだったらしい。
サカズキさんがおれに対して独占欲を持ってくれていた。
それは本当に、泣きたいくらい嬉しいんですが、今回の件でかなり寿命が縮まったのでヤキモチはもっとわかりやすい感じでお願いしますサカズキさん。