「グラディウス、ちょいと失礼」 「なん…!?」 シュワシュワ、パチパチ。 近づくといつも聞こえてくる小さな音の正体を確かめるべくグラディウスの唯一と言っていい露出個所である額をべろりと舐めると、想像した通り人肌特有のほんのりしたしょっぱさと共に炭酸水よりずっと繊細な刺激を舌を感じた。 派手に破裂するところばかり見ているから俄かには信じ難かったが音を出しているのは間違いなくグラディウスの身体だったらしい。 まったく、能力者ってのは面白い奴が多いな。 「なァ、これってわざとやってんの?それとも無意識?」 問いかけてみるも目を見開いたまま固まっているグラディウスから返答はない。 まさに茫然自失である。 ならばこの隙にあの細胞のひとつひとつが破裂を続けているような不思議な感触を再度味わおうかと舌を出した瞬間、パァン、と風船を割ったような乾いた音が周囲に響いた。 驚きすぎて思い切り噛んだ舌が痛い。 「ちょ…グラディウス、いきなり破裂すんのはズルいって。心臓止まるかと思った」 「それはこらちのセリフだ!おま、お前という奴は…!!」 バクバク脈打つ胸を押さえて抗議すると顔を真っ赤にしたグラディウスがおれを狙って両腕を構えた。 シュワシュワ、パチパチ。 おれがそばにいるときだけ聞こえるというその音の理由は、まだ教えてもらえそうにない。 |