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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

おれだってちゃんと優しくしたいんだ。
怒ってるふりなんてせず素直に甘えて、笑顔で相槌打って、そうしたいのにできないのはお前のせいじゃないか。
タイミングが掴めなくてずっと態度わりィままだったけど、お前が付き合おうって言ってくれたときチャンスだって。
これを機にちゃんと言いたいこと言って、したいことをするんだって思ってたのに。

「そのままのエースが好きとか、そんなこと言われたら態度変えられねェだろバカ!バカヤロー!!」
「え、ああ……ごめん?」
「普通に話したいだけなのにキツいこと言っちまうし!それでもへらへら笑って許すから余計素直になれなくなる!……ずっとこんなんで、おれ、いつか愛想つかされたらって」

嫌われたらどうするんだ、どうしてくれる、お前のせいなんだぞと背中に回した腕で殴りつけてくるエースは非常に可愛いが如何せん酒臭い。
宴会の最中、真っ赤な顔でぐしぐし泣きながら膝に乗りかかってきた時点でおかしいと思っていたがどうやら酔うと甘えたになるタイプのようだ。
突っかかってきたり素っ気なくしたりと忙しくしながらおれの反応を気にしてそわそわされても、正直微笑ましいだけで嫌うなんてありえない。
しかしエースからすればそれこそありえないらしく「お前のせいなんだから嫌うな、責任とれ、別れたくない」とおれがエースを嫌いになる前提で一世一代のデレを発揮してくる。
かわいい。

「エース、エース。おれはお前を嫌いになったりしないよ。だから泣かないで。責任とって大事にするから、な?」

とりあえずおれもエースの背中を抱き、子供にやるように頭を撫でて宥めてやると泣き声がひどくなった。

「そうやって甘やかすからダメなんだろぉ!」
「うん、ごめん」

ゆるんだ頬を抓るエースの、涙でぐちゃぐちゃな顔にキスをする。
突き放すのが正解だというのならエースが素直になれる日はきっと一生来ない。