互いの立場やらなんやらが邪魔をしてなかなか二人の時間を持つことができない恋人と久方振りの甘い夜を過ごし、ゆったりとした朝を迎えた、はずだったのだが。 「なァ、おれはなぜ殴られたんだ…?」 隣で眠っていた恋人から起き抜け一発脇腹に抉りこむようなパンチをいただいた。 昨夜は無理も意地の悪いこともしていないはずなのだが。 ひたすらハテナが浮かび続けるおれに、恋人が顔を歪ませ「お前に愛してると言われる夢を見た」と言って二撃目を繰り出してきた。 さすがに避けたが攻撃は執拗だ。 そこまでおれに愛を伝えられる夢が嫌だったのかと問うと苦虫を噛み潰したような表情で唇を奪われた。 恋人の考えていることがわからなくて辛い。 (「おれも」と答えさせてくれなかったお前が悪い) |