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「受け取ってください」

何の冗談か日々クロコダイルに愛の言葉を捧げる男が手渡した燃え上がる炎のような可憐でいて目を惹く花。
これを枯らされたら、悲しむか落ち込むか。
普段気にもならない男の反応に興味がわいてわざわざ右手をのばして花を掴み取る。
如何に美しかろうが脆いだけのものに何の価値もありはしない。
触れた瞬間生気を奪われたように萎れてぼろぼろと崩れ落ちた花をクロコダイルは嘲笑った。
その嘲笑に、男の笑みが重なる。

「あなたの心もはやくこうなればいい」

ある日毎日贈られては朽ちていく花の名前とその花言葉をニコ・ロビンから教えられ、クロコダイルは歯をぎちりと噛み締めて顔を歪めた。
クロコダイルが枯らすことを前提に選ばれたとしか思えない花言葉が酷く癇に障る。
男の思惑通り、手渡される花とともに確かに崩れつつある己が心のなんと儘ならないことだ。

(シクラメン:花言葉『猜疑心』)