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「#幼馴染」のBL小説を読む
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思い出すと大声で叫びながら何かその辺にあるものを殴りつけたくなるくらいの醜態を晒したおれに「両想いを始めよう」という謎の宣言したその日から、アルバは変わった。
ことあるごとに可愛い好きだ愛してると口にするし、急患が出てデートがなくなるのは変わらないけど、そういうときには「これで大したことなかったらぶっ殺す」なんて医者が言っちゃいけない類のことを呟いて「今度絶対に埋め合わせさせてくれ」とキスしてくれる。
他にも嫉妬、のようなものをされたり、夜がものすごくねちっこくなったり、もう今までの淡白さは何だったのかと記憶を疑いたくなるほどの変わりようだ。
おれの花吐き病を治すために無理してるんじゃないかと心配になって尋ねてみたら「あんまりしつこくしたら引かれるんじゃないかと思って今までセーブしてただけだ」と輝かしい笑顔で返されて思いっきり狼狽えてしまった。
アルバの言葉や表情に嘘があるとは思えない。
それでも今のアルバの態度が演技で、花吐き病が完治したら全部元通りになってしまうんじゃないかという疑念がどうしても頭から離れない。
そんなもしもの未来の恐ろしさに、治療のためでもなんでも、アルバがずっとそばにいて優しくしてくれるなら完治なんてしなくていいと思ってしまうおれはやっぱりどうしようもなく性根が歪んでいて自分で自分が嫌になる。
でも、完治なんてしなくていいと思っていても、医者であるアルバは目の前の患者を苦しめる病気に対して容赦がない。
必死に止めるオヤジの主治医を振り切って「息子さんをおれにください!」とオヤジに殴られにいったアルバを目撃したあたりで、おれは残念ながらこの病と長く付き合うことは出来そうにないという諦めに似た悟りを得た。

白銀の百合がアルバの寝室に飾られるようになるまで、あと少し。