「かた…おもい?」 理解できなくて、理解したくなくて呆然としたまま呟いた言葉に「そうだ」と落ち着き払った肯定が返ってきた。 知らないうちにカタカタと震えていた手のひらから何枚かの花びらが落ちていくのが目の端に映る。 片思いなんて、おかしい。 だっておれが好きなのはアルバだけだ。 そりゃあ告白したのはおれからだけど、付き合ったあとも、セックスしても弟扱いのままだけど、それはアルバが世話焼きな兄貴分だからで、具合の悪い奴がいるときにデートが突然なくなるのもアルバが医者だから仕方ないことで、おれは、アルバとおれは恋人だ。 アルバはおれを好いてくれている。 花吐き病の条件に合わない。 何か別の、きっと、なにか。 そう思っているのにゲホゲホと噎せ嘔吐くと胸の悪くなるような熱と一緒に鮮やかな花がせりあがり、指の合間から溢れると血のようにぼたぼた床にこぼれ落ちた。 花吐き病? これが? 片思いじゃなきゃ発症しないって、 じゃあなんで、 苦しくて、咳が止まらなくて、縋るように目を向けた先でアルバがゆっくりと首を横に振る。 「花吐き病に薬はない。治療法は片思いの相手と結ばれることだけだ。 おれには、この病気を治せない」 アルバ、なんで。 |