食堂での一件の後モモンガと顔を合わせることなく仕事を終えて自室に戻ったおれは部屋に備え付けられている机の上で頭を抱えてどんよりと沈み込んでいた。 昼間のモモンガの反応が気になる。 けれどあれは、長い間モモンガに迷惑をかけ続けていたおれがすんなり絶交宣言を受け入れたのが気に食わなかったという、ただそれだけのことに過ぎないのかもしれない。 そう思うと面と向かって話し合うのは怖すぎて、ならば顔を合わせなくていいように手紙を書こうとペンをとったものの考えが一向にまとまらず結局なにもそれらしいことを書けないまま就寝時間になってしまったのだ。 一文字書いては止まり、一行書いては紙を破り捨て。 なんかもう時計の針の音にすら敵意を感じる。手紙一つまともに書きあげられない自分が情けなくて泣きそうになってきた。 「……どうせ頑張って長文書いても宛名見た時点でゴミ箱行きだろうし」 モモンガに読んでもらえないのなら何を書いたって同じじゃないか。 そんな鬱屈とした気持ちで真っ白な紙に小さく『すきだ』とだけ書き記し、四つ折りにして封筒にしまいこむ。 走り書きのメモ以下の手紙の完成だ。 あとは扉の隙間からでもモモンガの部屋に滑り込ませておけばいいだろう。 「ハハ、我ながら寂しいラブレターだなァ」 モモンガって変なとこ律儀だし、ハートのシールでも貼っとけば苛々してツッコミにきてくれねェかな。 どこまでも自然にそう考えた自分があまりにも馬鹿すぎて自嘲を漏らす。 怒らせてでもモモンガに構われたいなんて、そんな自分本位な考え方だから嫌われたんだろうにまだ懲りていないのか、おれは。 好きという気持ちのせいで嫌われる行動ばかりとってしまうんじゃあ全くもって本末転倒だ。 わかっている。 わかっているのに、なんで。 「……あーあ」 どうせならモモンガの手で捨てられるであろう手紙と一緒にこの独りよがりな気持ちも消えてなってくれればいい。 そうすればきっと、もう少しくらいはマシな接し方ができるだろうから。 |