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水に恵まれているとはいえないドレスローザにおいて権威と財力を示すためにプールを開放するのは珍しいことじゃない。
とはいえカナヅチである能力者が水に浸かるわけもなし、座っているだけの若が水着に着替える必要なんてどこにもないはずだ。

なのに、なんで脱いでるんですか、若。

ドレスローザの王宮に備え付けられたプールサイド、ぶかぶかの上着と真新しいピンクビキニというポルノ雑誌真っ青な姿で至極ご機嫌そうにフッフッフしている若に頭痛を覚えて眉間を押さえる。
からかわれてるってわかってるのにわざわざ俺の反応見るためだけに水着買ったのかとか何考えながらあれに足通したんだろうとか、そんな想像でむらむらしてしまう自分が情けなくてしかたがない。
というかオカズが増えるのは喜ばしいことだが、誘う、断られる、諦めるの流れを繰り返すたびに煽り方が過激になるのはどうにかならないのか。
なんかもうどこまでやったら俺の理性の糸が切れるか身体を張ってチキンレースされてる気がしてきたんだけど。
舐めてしゃぶって噛んでキスしてじっくり味わいつつ足だけでイけるようになるまで開発しつくすぞマジで。

「フッフッフ!どうしたアルバ、何か気になることでもあったか?」
「……いやー、若はサービス精神旺盛だなぁと思って」

ビキニだってのに躊躇う様子もなくいつも通り大股開いて座っちゃうもんだからあの日以来お目にかかれなかったツルツルの内腿が丸見えでまぶしいことこの上ない。
若ってば日焼けしてないところは案外色白なんだよなぁ。
……あ、そうだ。

「若、白いとこ焼いちゃうの勿体ないからローション塗りません?つーか塗らせてください」
「フフ、却下」
「わー返答はえー」

ピンときて笑顔でお願いしたら笑顔で即断られてしまった。
まあ期待してなかったしオーケーされたらされたで困るからいいけどさ。
だって見てるだけでもアレなのに人前で内腿にローションとか塗ってエロい声出されてみ?
間違いなく暴発するわ。
変態の烙印押されて社会的に死亡するわ。
若が性的すぎて生きるのがつらい。

「……俺、ちょっとその辺ぶらついて飲み物でもとってきますねー」

ニヤニヤ意地の悪い笑みを浮かべてこちらをのぞき込んでくる若に一言告げ、そそくさと人ごみのなかに紛れる。
部屋に戻ってクールダウンしないと冗談抜きに襲ってしまいそうだ。
水着姿の群集をざっと眺めた限り好みの足は多々あるものの相変わらず若以上にそそる足の持ち主は見つかりそうにない。
選り取り見取りな状況で寂しい限りだがここは大人しくソロプレイで処理するかと時折かけられる声に片手で応えながら自室へ向かう。
オカズは当然本日の若だ。
煽るだけ煽って触れさせてくれないというのなら脳内でぐちゃぐちゃに犯すま「い゛ってぇ!!?」痛い!すごいいたいなにこれ!

数人の際どい水着美女を横目で見送りつつそれでも若のビキニのが断然エロいな、なんて考えていたそのとき、ぐりん、と勢いよく頭が天を仰いで首が嫌な音を立てた。
もちろん自分の意思ではなく強制である。
そしてそんなことができる人間はこの場に一人しかいない。

「若!?若でしょうこれ、ちょ、やめてくださいよ痛い痛い若!若ぁ!!」

あまりの痛みに先程までのむらむら感が一気に吹っ飛んでしまった。
快晴の空の青さを楽しむ余裕もなくもげそうになる首に力をこめる。
助けを求めてぎゃあぎゃあ喚きたてると突然の騒ぎにざわついていた周囲がしんと静まりかえり、次いで視界に映り込んだのは逆光で影を落とした若のドアップ。

「わ……若……?」

さっきまで笑ってたはずなのに……真顔じゃないですかやだー……。