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「#幼馴染」のBL小説を読む
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休暇申請する前に商品のあたりをつけておこうとシャボンディのヒューマンショップに連絡をとり「足長族の奴隷はいるか」と尋ねていたら突然部屋に乱入してきた若に顔面蹴り飛ばされて鼻血が出た。
なんとヒューマンショップの店長が電伝虫二匹駆使して俺との会話を若にリアルタイムで中継しやがったらしい。
俺が奴隷を買おうとしたらそうするように若が指示してたんだってさ。
意味がわからん。
あの店個人情報とか守秘義務とかそのへんのマニュアルどーなってんの?
権力のないやつは保護する必要なしとか社会の闇すぎるだろトップ誰だよってうちの若だわマジうける。

「おい」
「あー……ハイ?なんでしょーか、若」

意識を保つためにぐらんぐらん揺れる頭でひたすらくだらないことを考えていると壁際まで吹っ飛ばされた俺のもとに若がピンクをわさわささせながら歩いてきた。
壁に背中を預けてへたり込んでいる俺を見下ろす若の顔は最後に見た時と同じ不機嫌そうなへの字口で、ただし額にくっきり青筋が浮いていることといつまでたっても視線が逸らされないことを考慮すると不機嫌を超えて完全に怒っているんだろう。
というかこれはもうブチギレてるっていっても過言じゃない。
何で怒ってんのかはわからないけど、もしかして俺このまま殺される感じ?
うわぁ……こんなに早く死ぬことになるならあのとき素直に欲望に従って腹上死しとくんだったなぁ。
せっかくの据え膳だったのに惜しいことをした。

「……どこ見てやがる」
「足っすね。若の足を目に焼き付けてます」

「おい」からのアクションがないのをいいことにどうせ死ぬならと開き直ってガン見していると性的な視線を意識したらしい若がビクリと身体を強張らせるのがわかった。
目で犯されていると言わんばかりの反応に痛みで引き攣っていた顔がだらしなく緩んでくるんだから我ながら現金だ。
まあ足フェチとは目の前の極上の足に自分の触れなかった場所はないという事実があるだけでにやけてしまう生き物なので、ここは鼻血の量が増えないだけマシだと思っておこう。

「アルバ、なんだ、お前……おれの足には興味ねェんじゃ」
「いや若のおみ足愛でながら死ぬなら割と本望だなーと思う程度には興味だらけですけど?」
「ッ一回ヤったら見向きもしなくなったくせによくそんなことが言えたなァ!」

勢いよく口にしてからマズいと思ったのか、一瞬声を荒げた若はすぐにグッと押し黙ってしまった。
足から視線を外して顔を上げれば真っ赤に染まった耳と頬。
いまの話は若にとって相当な怒りと羞恥に満ちた内容だったらしい。
ちなみに俺の耳にはまるで「見向きしてほしかった」というふうに聞こえたのだが、はて。

「えーと……俺、あの後話しかけてもらえなくなったし会うたびに睨まれるしで絶対嫌われたと思ってたんですけど」

もしかして違いましたか、なんてわざとらしく首を傾げながら問いかけると、わなわな震えている若の唇がゆっくりと開かれる。
次の瞬間、当然肯定されるだろうという俺の予想は無理やりといったように吐きだされた言葉によって跡形もなく砕け散った。


「それはてめェが、自分から、おれに、会いに来ねェからだろうが……!」


ーー人生初、足以外のことで下半身が元気になりました。
若のデレやべぇ。