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「若様はアルバのものなの?」

歯に衣着せないシュガーの言葉に引き攣るドフィの笑み。
面白い冗談だと哂って、いつも軽く掌を乗せるだけに止まるシュガーの小さな頭を乱暴に撫でまわす大きな手。
その光景を見た瞬間口を「あ」の形で固定したまま立ち尽くしてしまった。
『おれのドフィ』がおれのものでない可能性に気づいてしまったのだ。
まさかそんなと首を振ってみても出てくるのはそれを裏付ける記憶ばかりで、いてもたってもいられず本人に直接聞いてみれば「調子に乗るな」の一言。
どうやらおれは本当にドフィの恋人ではなかったらしい。

思い返せばおれの「好きだ、付き合ってくれ」という面白みも何もない告白に対し、ドフィは笑いながら「お前がおれのものになるっていうなら考えてやる」と答えただけだ。
拒絶されなかったことに浮かれたおれはその場でドフィのものになると誓ったが、「考えてやる」というのはあくまで考えるだけであって交際を承諾する返事ではない。
使い古された手にひっかかって一年近く恋人気取りでベタベタしていたおれはどこまで御目出度い男なのだろう。
身体の関係はある。
何かの記念日には必ず一番にプレゼントを贈ったし、デートに行くことだってあった。
けれどそれはあくまでおれがドフィのもの、つまりペットだとかオモチャだとか、そういう対象だから暇つぶしの相手として選ばれていただけだったのだ。
騙されていたことに対する怒りはない。
そもそも勘違いをしたおれが悪いのだしドフィが言葉通り現在進行形でおれとの交際を「考えて」くれているのであればまだチャンスはあるのだから悲観することでもない。
もちろん落差の大きいぬか喜びに落ち込みはするけれど、もとより一刀両断で切り捨てられて終わるのが当然だった恋だ。
もっともっと頑張って、恋人として認められるように努力しよう。
それまでは恋人の、

『おれのドフィ』とはお別れだ。