「ドフィ、おれのドフィ。お前の誕生日に指輪を贈りたいからサイズを測らせてもらってもいいか?」 「フッフッフ!勝手にすりゃあいいさ。つけるかつけねぇかはモノによるけどなァ」 「そうか……なあドフィ」 「フフッ、なんだアルバ」 「ドフィは、おれのものだよな?」 長くて節のしっかりとした指をなぞりながらそう問うとドフィの顔から笑みが消えパシリと手を振りほどかれた。 調子に乗るなと吐き捨てられた言葉に苦笑して謝りながら再度手を取る。 今度は薬指ではなく中指だが、それでもドフィのお気には召さないようだ。 これ以上は機嫌を損ねるだけだと判断し、おれは軽く引かれた手をそのまま放してソファから立ち上がり腰をかがめて頬にキスをした。 いつもしているサヨナラの合図だが今回は少し、おれにとって違う意味合いを持つそれ。 「……なんだ、もう帰るのか」 「ああ、今日は確認したいことがあって寄っただけだから」 「なるべくお前の気に入りそうな指輪を選ぶよ」とウインクすれば「期待はしてねェ」と返される軽口。 こんな会話をできる関係になれただけで素晴らしいことだと喜ぶべきなのだ。 ドフィと付き合っているつもりでいたなんて、そんな馬鹿げた勘違いはもう二度と表に出さずにいよう。 ドフィはおれの持ち主で、おれはドフィの所有物。 それだけでおれは充分幸せだ。 |