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セントポプラについてからというもの、アルバの様子がおかしい。
いつも通りの人好きのする笑みでいつも通り女に捕まっているアルバ。
ぱちり、と。
カフェテラスからアルバを観察していたジャブラと目があったのに、すぐ視線を逸らして女との会話に戻ってしまう。
おかしい、絶対におかしい。
いつものアルバならジャブラの姿を視界にいれた途端、すべてを放り出して犬もかくやというほどの無邪気さで突撃をかましてくるというのに。
数秒間待ったがアルバが再度こちらを見ることはなく、ジャブラは鼻に皺を寄せて溶けかかったパフェにスプーンをつきたてた。
柔らかいクリームを容易に突き抜けたスプーンがパフェグラスの底にあたりガツリと音を立てる。

「なにやっとるんじゃジャブラ」
「なんでもねェよ」
「なんでもなくはないじゃろ……ここ暫くずーっとイライラしとる」
「なんでもねェっていってんだ狼牙!!」

ついカッとなって大声を出してしまい慌ててアルバを見るが、ジャブラの声が聞こえなかったのかこちらを気にしている様子はない。
否、違う。
雑踏の中とはいえCP9が仲間の声を聞き分けられないはずがない。
確実に今、アルバはジャブラのことを無視しているのだ。
あの野郎、いつも。
いつもなら、大声なんてあげたりしたら即座に隣へ来て、何があったのと心配そうに、おれのことを。

「アルバか。わかりやすいのう」
「ああ!?」

動揺からまたも声が大きくなった。
半ば条件反射のようにアルバの姿を確認してしまい、相変わらずの横顔に苛立ちだけが募る。

「そんなに気になるなら声をかけてきたらどうじゃ?」
「るせェ」

別に、気にしているわけじゃない。
アルバはただジャブラに懐いているというだけの同僚であり、周りをチョロチョロされて鬱陶しいと思うことはあれど自ら近づいて声をかけるような存在ではないのだ。
ただ何年もの間日常に組み込まれたやりとりがないことに調子を狂わされるというだけで、それ以上のことはなにも。

「チャパパ、アルバが女をお持ち帰りしたぞ!」
「なんだ、珍しいな」

なにも。

「ジャブラ、顔色が悪いようじゃが」
「……るせェ」