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突っ立って硬直したまま青褪めているエースに、おれは「あれぇ?」と首をひねった。
「どうしたよ」と声をかけ、手を伸ばそうとした瞬間弾かれたように逃げ出したエースに驚きながら、しかしそこはモビーの内部を知り尽くした古株の知恵で袋小路に追いつめていく。
こうして追いかけるのは告白の返事しようとしてなんでだか逃げされたときぶりだなぁ。
なんでエースはそんなにおれから逃げようとするんだろうか。
マルコたちにはお前が悪いといわれたけれど、生憎思い当たる節はない。
不思議に思いつつでもまあいいかと疑問を頭の隅に追いやっていると、ようやく行き止まりに気づいて立ち止まったエースがチラチラと炎を出して威嚇してきた。
エースのこういう嫌なことがあるとなんでもかんでも攻撃的に接して遠ざけようとするところ、野生の動物みたいでおじさんとても可愛らしいと思うよ、うん。

「エース、なんで逃げんの?おれのこと嫌いになっちゃった?」
「ちがっ……!ちげェ、けど、お前がっ……アルバ、が、だって、お、おれっ、だって、」
「えぇ…おれのせい?」

「お前が!他に好きな奴ができたとかいうからだろ!」と怒鳴りながらいよいよ本格的に炎を巻き上げ始めたエースが「おれは絶対別れねェからな!」というなんとも可愛い駄々をこねだした。
というか他に好きな奴ができたってそれ、普通に嘘なんだけどね。
今日がエイプリルフールだってことは知ってるはずだし普段からエースのこと大好きだって溺愛アピールしまくってるから「ありえねェだろ」って笑い飛ばしてくれると思ってたんだけど愛が足りてなかったかな?
エースってば案外愛情不信だよねもちろんそういうところも可愛いんだけど。

「さっきのは嘘だから炎しまってこっちおいで。ちゃんと言うこと聞けたら不安じゃなくなるまで甘やかしたげるから」
「ま、またそうやって、子ども扱い……!」
「うーん?朝から爛れてるとは思うけど、大人の甘やかしかたがいいならそうしたげるよ?」

いいからほらこっち、と腕を開くとどうにかこうにか苦労して炎をおさめたエースがぼろぼろと涙を流しながら胸に飛び込んできた。
涙だか鼻水だかが服についてべとべとになっちゃったし、二人でシャワー浴びたらお望み通り大人の甘やかしコースだなぁ、これは。