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「#幼馴染」のBL小説を読む
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仲がいいのは間違いないが、友人なのかと聞かれると肯定すべきかどうか悩んでしまう。
なにせおれがただの一般人であるのに対し相手のミホークは大剣豪だの七武海だのと呼ばれる超有名人だ。
親しくなったきっかけだって酒場で酔って気の大きくなっていたおれが仏頂面で黙々と酒を飲むミホークに「しけたツラしてやがるなァ、もっとうまい酒飲ませてやるからうちに来い!」と馴れ馴れしく話しかけたうえ首に腕を回して引きずるように家に連れ込んだというとんでもないもので、正直ここまで親交が続いている理由すらわからないくらいである。
それなのにミホークは今夜もやっぱりおれの家で酒を飲んでいるし、相変わらずの仏頂面ながら酒が回って気分が良くなったのか、アルコール臭い顔を寄せてちゅうちゅうと唇に吸い付いてくる。
なんで友人かどうかもわからない奴とキスなんてしているのかというと何度目かの酒盛りの際にミホークにされたそれをなあなあで受け入れてしまい、以来酒盛りの恒例行事になってしまったからだ。
絶対におかしいとは思うがなぜおれにキスするのかとミホークに聞いてみても「したいから」という実に堂々とした答えしか返ってこないので、もう深くは考えないことにした。
自分と同じ酒の味がするキスはそう不味いものではないし、嫌悪感がない以上男同士というのも気にするだけ無駄だろう。

「……ん、おい、こらミホーク、ストップだ、止まれ。酒が飲めねェ」

顔と顔の間に手を差し込んで制止すると、ちゅ、ちゅう、と舌を入れるわけでもなく戯れのようなキスを繰り返していたミホークが不満そうにこちらを見つめてきた。
これも酒の力なのかそれとも別の理由があるのか、鷹の目という二つ名の通りの猛禽のような鋭い金目が蜂蜜みたくとろけていて真顔とのギャップがすごい。

「……ぬしはおれよりも酒を優先するのか」
「酒盛りなんだから当前だろ?」
「おれはアルバのほうがいい」
「そんなこと言って、まだ飲み足りねェくせに」

笑いながら口に酒を含み飲み込まないまま唇を指差すとミホークが目先の餌に釣られムスッとしつつも素直にかぶりついてくる。
仲はいいが友人かは怪しくキスはしても決定的な言葉はない。
ミホークの馬鹿みたいに分かりやすいアピールに反し、おれたちの関係は今日も今日とて曖昧なままだった。