ドフィは燃え立つような激しいキスより子供の戯れのような触れるだけのキスを好む。 本人はそれを隠していてあくまでもおれを驚かせるイタズラとしてキスをしてくるが、あれだけ頻繁に、しかも幸せそうな顔でキスされればいやでも理解するというものだ。 この間試しにセックスの最中のキスをディープキスから軽いものに変えてみたときなんてやばかった。 とろとろで幸せそうで、なんというかもう、本当にやばかった。 それでも触れるだけのキスが好きだと認めないのは、多分おれに快楽を伴わない精神的な幸福というものを求めていると思われるのが嫌だからなんだろう。 おれはそんなことでドフィに幻滅したりしないしむしろドフィがより幸せであってくれるなら万事それでいいと思っているのに、妙なところにまでプライドが高い奴だ。 「アルバ」 今日も今日とて大きな体を屈めて不意打ちのキスをしてきたドフィがフッフッフと楽し気に身体を揺らす。 こういうときおれが言うのは一つだけ。 『驚いた、相変わらずお前は気配を消すのが上手いな』だ。 自分が触れるだけのキスを好んでいることを隠して『イタズラ』を続けたがっているドフィは、それ以外の言葉を求めていない。 しかし、まあ、たまにはこういうのもいいだろう。 「……髪にゴミがついてるぞ。もう一回屈め」 「ああ?」 いつものやりとりから外れたおれに訝しげな声をだしながら、それでも素直に腰を折り曲げたドフィに、今度はこちらから不意打ちのキスをする。 ドフィが大好きな、触れるだけの軽いキス。 サングラスにぶつかって少し痛かっただろうがドフィを幸せにするためだ。 そのくらいは見逃してくれ。 「いつもの仕返しだ。どうだ、驚いたかドフィ……ドフィ?」 手で唇を押さえて固まっていたドフィが突然顔を隠すように蹲ったのを見て一瞬慌てるも、隠しきれていない耳と項の色でおれは自分の『イタズラ』の成功を理解した。 随分と幸せそうでなによりである。 |