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「#幼馴染」のBL小説を読む
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アルバと初めて会ったのは父を捨て、鳥かごの外へ逃げた先で海軍に保護されたときのこと。
まだ二等兵で隊の中では一番の若手だったアルバは比較的年が近いという理由で保護された『少年』の世話という面倒な仕事を押し付けられ、それでも人のいい笑顔を浮かべながらドレークの前に現れた。
本当は『少年』なんて歳ではなかったけれど、きっと緊張と怯えで小さくなって震える自分は余程弱々しく見えたのだろう。
アルバはそれまで信じていた父親に否定され、蔑まれて生きていたドレークにとても、とても親切に接してくれた。
気持ちの整理がつかず黙りこくっているドレークに様々な話を聞かせ、本当は規則違反だが遠征があるときはいつもこっそり持ち込んでいるのだという甘い菓子を渡し、風呂に入れて一緒に眠って。
アルバが何かしら心を砕いてくれる度ドレークの心臓は息を吹き返すように脈打って胸が温かくなった。
子ども扱いされる羞恥から目を背けて「もっと」と求めたくなるような、それでいて甘やかされるだけでは満足できないような。
今にして思えば、あれはきっと初めての恋というものだったのだ。

アルバは優しかったがそれらはすべてドレークが『少年』であるという誤解からくる親切だと知っていたから、温もりを失いたくなくて別れのときまで誤解を解かないままでいた。
だから海軍で再会したアルバが健康的な生活と厳しい鍛錬により年相応、もしくはそれ以上に成長したドレークに気づかなかったのも仕方のないことだと理解できた。
理解はできたがそれでもアルバの存在を諦めることはできず、過ぎていく時間と共に澱のような鬱屈と焦りだけが身の内に募る。
昇格してそれなりの肩書を得ても気さくで明るい態度を崩さないアルバはいつも誰かに囲まれていて、ただの新兵の一人でしかないドレークには見向きもしない。
笑顔を振りまくアルバの周囲はまるで暖かな陽だまりのようで、そんな場所へ近づくことすらままならない情けない自分に苛立ちが増した。
今更『少年』に向ける過ぎた優しさは望めないだろうことはわかっている。
けれどせめてもう一度。
もう一度、あの目に自分を映してほしくて。


――愚かしくも力を誇示しようと解き放った『古代種』の力。
恐竜へと姿を変えたドレークを見るアルバの目は、畏怖と嫌悪に染まっていた。