あるクルーから無理やりに渡されたマグカップの中からはもくもくと湯気が立ち上る。「これナマエさんに絶対渡して下さいね!ぜったいですよ!」とだけ言い中身はなんだどうして俺がと聞く前にそいつはコップを俺の手の中に収めては素早く走っていってしまった。 「キャプテン、どうしたの?それ…お酒?」 「あぁ」 「ホットラムだね」と鼻をすんすんと揺らすベポに今あった事を説明すると耳を疑う内容を話し出す。 「そっか!風邪には温かいものがいいもんね!さっき厨房で作ってたのはナマエの為だったのか!」 「…かぜ?」 あいつが?風邪? そんな事俺は知らなかったっていうより気づけなかった。 ベポが言うには二日前から熱があったようじゃねェか。 他クルーが気づけた事を俺は知らなかった。 「…入るぞ」 気づけばナマエの部屋の前にいた俺は苛立ちを隠さずノックもなしに入る。 ベッドから顔だけをこちらに向けて驚いているナマエにコップを差し出す。 「…ありがとう。どうしてローが?」 「クルーに無理やり渡された」 「あいつ、まったく…気づかれないようにと言ったのに」 その言い草はまるで俺に気づかれたら困ると言っているようで苛立ちがさらに増すのと同時に柄にもなく悲しみが襲ってくる。 「ローに移ったら俺が嫌だから接触をなるべく避けてたのに…ここ二日間の俺の苦労があいつのせいで水の泡だ。」 そう言って俺の頬に手を伸ばし「熱のせいで抑えがさらに効かなくなる」と籠った声で言われここに来たことを今更後悔する。 「ちょ、っとまて!ナマエッ!?ンッ!」 制止も聞かずホットラムを口移しで飲まされそのまま口内をおかされる。 自分の意識が宙ぶらりんになる寸での所でナマエの手の熱さに我に返る。 「ッ馬鹿野郎!お前は静かに寝てやがれ!」 「だってロー、俺このままじゃ寝れない」 「ッ!!」 そう言って俺の股間に摺り寄せるナマエのソレは見事に張り上がっていて顔が一気に熱を帯びるのを感じて嫌になる。さらにお願いと縋るように見つめられたらそれ以上拒む理由を俺は持ち合わせていない。 「…一回だけだからな。さっさと終わらせろ、そうしたら俺の風邪薬を処方してやる」 「ありがとう。好きだよ」 「そう思うなら今度からは一番に俺を頼りやがれ……」 「アイアイキャプテン」 もう一度愛を紡ぐナマエに何でか胸が痛むのを感じ切なく甘く痺れるそれはまるであのクルーが作ったホットラムのようだと心の中でそっと呟き目を閉じる。 ハニーホットラム |