「照星好きだー。綺麗かわいい可愛い抱きたい」 縁側に座りこみ独り言というには相手を意識しながら、それでも返答を期待するでもなくぐだぐだと呟く。 これってどうなんだろう。 内容とかまともに話する気ないところとか、なんかもう俺変態さんっぽいんだけど人から見たらどうなわけ。 思わず大きく息をはくと後ろの部屋から慣れた硝煙の香りが近づいてきた。 部屋の中にいたんだから、俺の声聞こえてただろうな。 やっぱ変な奴って思われたかな。 いわゆる『告白』に近い言葉を聞いたはずの照星から声をかけられるのを振り返らずにひたすらじっと待つ。 ぼーっとしてるのに心臓バクバクだ。 「気でもふれたか」 「ですよねー」 予想通りな見解を与えてくれた照星にカンパイ。 俺の幼馴染は今日も素敵にクールです。 「俺さぁ、旅に出ようと思う」 「なぜ」 なぜってさ、それ聞く? 言っちゃったら俺更に変態さんだぜ? 中庭のほうへ足を投げ出してぶらぶらさせていると背後からさらに強い口調でなぜだと問われた。 照星普段俺のこと放置上等なのに変な時だけこだわるよなぁ。 いや、普段もなんだかんだでかまってくれるけどさ。 「義助」 「…………このままだとリアルに照星と一夜のアヤマチおかしちゃいそうだから」 どうあっても流すつもりはないらしい照星に別に今更どう思われようが同じかとやけになって理由を話す。 だってさ、照星ってば俺の隣で超無防備に眠るんだもの。 実際無防備じゃないんだろうけど。 寝込み襲ったら火縄銃ぶっぱなされるんだろうけど。 「そうか」 「うん、頭冷えるまで戻らない。もしかしたら一生戻らないかも」 「そうか」 「うん……ってなにやってんの照星」 照星の顔見たら決意が鈍りそうだったから上を向いて雲数えていたのだが、 部屋に戻ったらしい照星が何やらごそごそしているのが気になって思わず振り返る。 目に入ったのは照星のご尊顔、と、きちんと纏められた荷物に火縄銃。 「旅の支度だ」 「うん?いや、なんで?」 「私も行く」 さらりと言ってのけた照星を、俺は呆然と見つめるしかなかった。 |