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【JB】宇佐美主任を惚れ負かした男

仕事で疲れると宇佐美主任に「ハラスメント規約違反の罰金支払うんで手に触ってもいいですか?」って確認とってキッカリ5秒手を握ったあと6ヶ月のキャリア支払って「ありがとうございます」って業務に戻る夢主と仕事が忙しいときほど(見る人が見れば)あきらかに機嫌が良くなってる宇佐美主任の話

***

この夢主、他の行員に対しては「ホコリついてますよ」とか「寝癖ついてるぞ」とか言ってわりとホイホイ軽めの身体的接触するのに宇佐美主任に対してだけは絶対罰キャリアなしに触れてこないよ。
なぜなら夢主は宇佐美主任に惚れてるし、主任相手にその気持ちがバレてないはずがないし、好きな相手に触れて無心でいることなんて不可能だし、そうなるとセクハラ以外のなんでもないと思ってるから。
自分に対してはキャリア支払ってでも触れたいと思ってて自分以外にはやましい気持ちがないから自然体で触ってるんだとわかってはいるけど結果として惚れられてるはずの自分が一番接触の機会が少ないという事実に宇佐美主任はいろいろと複雑な気分だよ。

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セクハラやめろって言われないし5秒手を握ってもらえたらエナドリ100本分活力漲るし主任にキャリア貢げるしで拒まれるまで続けてやろうと思ってたおてて握り。
が、御手洗くんが主任直々にスカウトされてきて伊藤班との戦争も本格的になり自分の価値について考えるようになった夢主がキャリアの元手を増やすために自重して恒例のセクハラおてて握りをお願いしにこなくなってしまった。

しばらく様子見していたものの疲れてやつれて枯れ木みたいになってても自分のもとにくる様子がないのでしかたなく二人きりの時に夢主の手を自分から握って夢主がやるのと同じくキッカリ5秒後に「規約違反の罰金です」ってキャリアを押し付ける宇佐美主任。
小悪魔ムーブに見えるけど宇佐美主任的には“負け”。
自分から動く気なんてさらさらなかったのに、ちょっと目を逸らされただけで耐えかねてこんなことするとは我がことながら思ってもみなかった。
ハラスメント違反の自己申告なんて告白返しも同じだから本当に悔しい。こんな欲は弱みでしかない。好意を嬉しいと感じるのはいいとして、いつでも切り捨てられるように、受け取るだけの側でありたかったのに。

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夢主と宇佐美主任は仕事終わりデートのときガチャガチャの前で

「次になにが出るか当てられたら付き合ってもいいですよ」
「じゃあシークレットで」
「……なぜ一番確率が低いものを?」
「宇佐美主任、それだけ持ってないって言ってたでしょう。俺は宇佐美主任に喜んでもらいたい」

って会話の後宇佐美主任が見事にシークレット引き当ててため息ののち正式にお付き合いを開始する。

「嬉しいですか」
「嬉しいですよ」

嬉しいんだけど、やっぱり負けたって気持ちが強くて八つ当たり気味に繋ぐ手に力を込めた。

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