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【FGO】リンボ「蘆屋道満を生贄に道満の想い人を召喚!自分のものにしてターンエンド!」

*死ネタ

地獄界曼荼羅平安京の最中に蘆屋道満時代の想い人(近い将来鬼との戦いで死ぬ)を殺して魂を取り込んどいたリンボ、のちのちカルデアにどのツラさげて召喚されてからもちゃんと一心同体なことにほくほくするの巻。

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道満の想い人である武士主人公は雑魚妖相手ならまあ善戦できる程度には強いけど鬼を相手取って勝てるほどは強くない。下っ端の鬼でも遭遇した場合は勝率二割、ギリギリ生き残れるかどうかって感じだったから正史における平安京イベ後の時間軸で大江山攻略の話が出たとき、もうその時点で「あっこれ俺死ぬわ」って悟ってた。
ので、最後の餞にと思ってわざわざ晴明の強化の術を断ったうえで「俺は晴明殿より貴方に護られたい」って密かに想いを寄せてた道満に術の行使を依頼したんだけど、それは道満からしたら(ずっと好きだった人が晴明より自分を選んでくれた!!命懸けのこの場面で晴明より自分を!!)っていう最高にハッピーな展開だった。
だからこそ念入りに念入りに、全身全霊をこめて術をかけて必ず無事にお戻りをって送り出したのにその結果主人公が死ぬというね。地獄〜〜!
冷静に考えれば一部の強者以外は鬼と対等に渡り合えないんだから死ぬ確率の方が高いのは分かりきったことなんだけど、主人公に求められてすっかり舞い上がってしまっていた道満はこの奇跡のような幸せには続きがあるのだと信じて疑わなかったし、ましてや死んで喰われて骸すら帰ってこないことなんて想像すらできなかった。
自分にもっと力があれば。いや、そもそも彼に術を施したのが自分ではなく晴明だったなら、恋しい人は死ななかったかもしれない。
想像、現実、仮定。思考ともいえない思考の末に加速する狂気。

それは陰陽師蘆屋道満が壊れるきっかけになった、どうしようもない正史の話。

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地獄界曼荼羅の幕開けの日、アルターエゴリンボはその『もうすぐ訪れる未来の記憶』を唆しの囁きとともに蘆屋道満に分け与えた。自身の元、オリジナルである蘆屋道満が発狂する原因となった記憶。道満の存在権を奪う決定打を。
ただの晴明への対抗心や劣等感だけなら道満の精神はそう易々とは揺らがなかっただろう。
しかし自分だけは知っている。かつて蘆屋道満が恋しいものの喪失に耐えられなかったことを、知識として、実際に経験した記憶としてリンボは確かに知っている。

かくして狂気に呑み込まれた精神に代わり『蘆屋道満』と成ったリンボは懐かしき平安京を地獄に変える準備の傍ら、まだ自分の運命も知らずに呑気な笑みを浮かべている男の命をさくりと丁寧に刈り取った。
アルターエゴであるリンボは蘆屋道満の一面を切り取っただけの別存在である。それゆえに、蘆屋道満の生前の記憶はあれど男に抱いている想いは同じではない。
リンボが男に向けるのは恋より強い執着と酷く耐え難い飢餓感だった。
異星の神による召喚以来常々感じ続けていたそれが、魂を取り込んだことである種の快感とともに満たされる。
これで二人が離れることは二度はない。
それはあの日の奇跡の続きのようで、とても幸せな事実だった。

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