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【呪術】伊地知さんと窓くん

*死ネタ

「伊地知さんおはようございます!3丁目東にある公園近くの裏路地、子供を誘い込もうとする知能があるらしき呪霊です!対処をお願いします!」
「了解しました。いつもありがとうございます。ところでそこはあなたの活動範囲からかなり離れた場所のはずですがどうしてそんなところに?」
「俺の活動範囲覚えててくれて嬉しいです伊地知さん!実はここすごい人気のかき氷屋さんがあるんです今度デートしませんか!」
「いま冬ですよ!?」
「暖房効いてるしなんなら俺が温めます!あっ鶏鍋の店もありますね食べログ評価もそこそこ高いけどまあこういうのってあんま当てにならないんで今度一人で試しに行ってきますおいしかったら一緒に行きましょう」
「行きません!……い、行きませんからね!?」

***

伊地知さんに連絡取りたいがために街を練り歩いて呪霊探ししてる窓くんと一回も顔合わせたことないはずの年下男子から報告のたびに口説かれて困惑する伊地知さん。
面識はないけど窓の個人情報は書類で確認できるから伊地知さんは窓くんの顔も名前も年齢も知ってる。本当は理由もなく見ていいものじゃないんだけど見てしまったから知ってしまっている。
そりゃああんな熱烈に口説かれたら気になるよ。これまでの人生誰かから特別必要とされたことないんだもの。仕事用のスマホに連絡するためにわざわざ自発的に呪霊を探してまで飽きることなく好意を伝えられたら、そりゃあ好きになっちゃうよ。
でもふと高専校舎の窓を見るとそこに映っているのは冴えない顔をしたくたびれた男で、現実を思い知るたびに高鳴っていた気持ちがしおしおと萎える。釣り合わない。絶対に幻滅される。会えるわけがないと思ってしまう。
あの傍若無人な最強の呪術師とまではいかずとももう少し自信の持てる容姿だったなら、きっと。

***

「いじちさん、小学校のちかく、なんかの塚が、壊されてて。ガキが一人……けがしてたけど、ちゃんとにがしました。あのときの、いじちさんみたいにかっこよくはできなかったけど、おれ、ちゃんとたすけましたよ。いじちさん。おれ、いじちさんにずっとお礼、いいたくて。ごめんなさい。ごめんなさい、いじちさん。ありがとう」

***

会えていれば彼は無理に危険に近づこうとはしなかったかもしれない。
でも会えなかった。それが現実。
会う勇気を持てなかったから、それが最期。

***

・窓くん
伊地知さんが補助監督になりたてのころそこそこやべー呪霊に襲われてたところをたまたま通りかかった伊地知さんの車にスタントマン顔負けな力技で引きずり込んでもらったことで命を救われた男の子。
成長期でにょきにょに伸びたから写真を見ても気づけなかっただけで伊地知さんと窓くんは当然顔を合わせたことがあるしなんならそのとき一目惚れしてる。
直接会ってお礼言ってあわよくばデートしたかったけど昔自分がしてもらったみたいに他の誰かを救って好きな人の仕事の役に立って死ねたからまあまあ幸せな最期だった。

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