ご都合個性で死柄木がちょこのっこフィギュア(体高約4.5cm)になってしまった!
とりあえずアジトに戻り、死柄木は踏み潰さないようテーブルの上に乗せられた。
「弔くんも小さくなるとカァイイのです」
「俺はいつでも可愛いだろ」
「発言がおかしくなってるぜ!? いつもどおりだぁ」
「はー、これも個性の影響かねえ」
「いや、言ってる場合か!?」
「知ってるぜ、こういうのキモカワっつーんだろ」
「キモは余計だ。傷つく」
小さくなった死柄木を取り囲み、やいのやいのと騒ぐメンバー。
と、そこでトガが、少し離れたところで肩を縮めてもじもじするなまえに気がついた。
「ところで、なまえちゃんはそんなところで何してるんです?」
「こっち来いよ、面白いぜ。超つまんねー!」
真逆のことを同時に言いながらトゥワイスが手招きするも、なまえは遠慮がちに首を振るだけだ。
(いやいやいやむりむりむりそんな可愛いの構ってたら尊さで殺られる)と、思考ばかりがうるさい。
すると、何を思ったのか、机の縁にちょこんと腰かけていた死柄木が突然立ち上がり、短すぎる歩幅で天板の上を渡ってなまえの前に辿り着く。
思いがけず目の前にやってきた死柄木を見つめて、固唾を飲むなまえ。
そのなまえに死柄木は小さな両手をにゅっと伸ばして、言った。
「なまえ。構え」
なまえは、カーンと額を打たれたようにのけぞって、すぐに体を戻すと、その両手で小さな死柄木をそっと押し頂いて言った。
「養いますッ……!!」
「そうしろ」
頷く死柄木。
その様子を眺めながら、スピナーはふと冷静さを取り戻して言った。
「あいつの方が重傷だな」
「いつものことなのです」
その後元に戻った死柄木は、しばらく部屋から出てこなかった。