なぜだろう、海に消えてゆく夕陽を見て思うのは寂しさや物悲しさ。朝陽とは違う何かを感じながら、何をすることもなくただ甲板にたたずむ


「こんなとこで何やってんだよい」

視界に影が落ち、夕陽とは違う鮮やかなオレンジがそよそよと風を泳いでいる

「――…マルコって夕陽に似てるよね。丁度、沈みかけみたいで」

「鉄拳を食らいたいのかい?」


額に青筋をたてるマルコに、自分の中の何かが反応する





「っあはは」

いきなり笑いだした私を不思議そうに見つめるマルコ

「っっふっ、ごめんごめん。そう言えば昔もこんなことあったなって思いだしちゃって」


私がそういえば、そんなことがあったかねぃと、いまいちぴんときていない様子のマルコ


「ほら、丁度元旦のときに、皆で初日の出を見ようってなったことがあったじゃない」


「あぁ、思い出したよい。年越しで宴してて、」


「そうそう。それでイゾウ隊長が和の国の伝統行事をしようって


そしたらエースがマルコの頭見て、いきなり笑いだしちゃってさ」


「ったく、あの馬鹿は懲りないからねぇ」


「でも、マルコは鉄拳を食らわせなかったよね」
「サッチの野郎が今日はエースの誕生日だから大目に見てやれって言うもんだからねぃ」


「かわりにサッチ殴ったよね、マルコ。」


「あいつがいつまでもニヤニヤするからだよい」


「………」


「………」


いつぶりかに口に出す二つの名前。あの"出来事"のあと自然と名前を出すことを躊躇われていた。


でも、誰一人彼らを忘れたことはない。彼らを思い出さない日はない。

調理場、甲板、大部屋、トイレ、、、、この船には彼らの跡が深く刻まれている。


ただ、思い出すと辛いのだ。


声が聞きたい、触れたい、温もりを感じたい


それが、叶わないことを思い知らされて辛いのだ


でも――…彼らはそれを望んだの?

過去ばかりを悲しむ私たちを、彼らはどう思うだろう


私たちは彼らの分も前に進まなければならないのに、、、


「なぁ、×××。ちょっと昔の話をしないかい?」


「うん。私も今そう思ってた」


たまには、昔の話をしようか



(エースのあのときの寝顔ったら)(後で食い散らかして寝たままのエースをサッチが怒っていたねぃ)






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