空が白む頃、静かに私の部屋に忍び込む影
私との共同部屋であるのに、その姿はまるで盗人
その盗人、もといマルコは私の親代わりのようなものだ。
と言うのも、幼いときに村を山賊に襲われ故郷も親もなくした私を、マルコは拾ってくれた
マルコは娘のように接したし私も父のように慕っていた
――…のに、、、
「遅かったね」
「すまねぇな×××、起こしちまったかい?サッチの奴がしつこくてねい」
「そう」
船が陸に停泊する度に繰り返される会話―
香水の匂いを纏いながら平然と嘘をつく
"娘"の私には、香水の持ち主を問いただす権利さえないのだ
でも、それでもいいと思ってしまう
「ねー、マルコ。あたしマルコが拾ってくれて良かったよ」
「くくく、なんだい×××、いきなり。嬉しいこと言ってくれるねい」
ほら、そうやって優しい顔で私をなでる
そうやって私だけのマルコの顔を見せてくれる
例え、その顔が父親のソレでも
だから私は娘になる
自分の気持ちに嘘を吐いて、今日もあなたの娘になる
ただ
もしかしたら、、
親子を演じる日に終わりがくることを祈りながら、、、
悲しいウソ、幼すぎたネガイ
(そんな日なんて永遠に来ないことなんて知ってるのに)