「星の王子様が読みたいな」
「くくく、×××の場合読んでほしいな、だろ」
「うん、ロー、読んでほしい」
「やけに素直じゃねぇか。まったく、二億のルーキーが朗読させられるとわな」
「私はいつも素直です。ローの声、落ち着いてて聞きやすいんだもん、ね、お願い」
「読んでるうちに寝るなよ」
「寝ないよ、」
「星の王子様 サン=テグジュペリ作…――――
――――――――――… 」
――…トントン
「ロー、入るぞ」
ちっ、ペンギンのやつか。今からバラのくだりで、×××が一番好きな箇所だってのに
読んでいた本を裏に返して机に伏せ扉越しに話しかける
「あぁ、何のようだ」
「南東に海賊船を発見した。沈むか?」
「――…あぁ、そうしてくれ。いま朗読中なんでな、静かにしていたい」
そう言ったとたん、ペンギンが悲しそうで、それでいて哀れむような顔をした
「、、ロー、お前…いつまで続けるつもりだ?」
「何のことだ?」
「いや、…いい」
そう言って静かに扉を閉め出ていった
そして、俺はまた本を読む
世界で一番愛する人のために
哀を読む人
写真の中で彼女が笑っている限り僕はあなたに哀愛を朗読しよう