ねぇ、あたし知ってるよ。
貴方が夜な夜な街へと足を運ぶこと。


ねぇ、あたし気づいてるよ。
貴方が朝方になるまで帰らないこと。








冬島についたのは、つい2週間前。
ローが街へとくり出すようになったのは1週間と5日前。
あたしが、温もりがないベットに気づいたのも1週間と5日前。
ローは明け方帰ってくるなり、何かにとりつかれたかのようにまた街に戻る。


その不可思議な行動の理由を知ったのは、ペンギンと買い出しに行ったときのこと。





ローは目が醒めるぐらいの美女と肩を並べて歩いていた。











ローはあたしに愛想がつきたのだろうか?
あたしのことが嫌いになったのだろうか?
今頃、低い声で違う名を呼んでいるのだろうか?


ローを見たあの日から、私の思考はあなたばかり。




場所を変えよう。船長室はローの薫りがして、安心感と喪失感と、、色々な感情が脳内を支配するから。








船長室をでると、ペンギンに会った。


いや、違う。正確にはペンギンは船長室から人が出てくるのを待っていた。


今、ローが船長室に居ないことはクルーであるならば当然知ってるはず。



つまり、ペンギンはあたしを待っていた。



「×××、大丈夫か?あれから飯もあんま食ってねぇし、、、顔色も良くない。船長に連絡とっ「ローには言わないでっ!!」」



思わず、声をはるとペンギンが困った顔をする。


そんなペンギンに、

「きっと、気紛れだよ。もうすぐログも溜まる。出港すればもとに戻るよ。」



まるで自分に言い聞かせるように言った言葉に鼻がツンとなる。





「そうか、、、、。今日は星がきれいに見えるそうだ。気を紛らせてはどうだ?」

それだけ言うとペンギンは静かに場を離れた。



本当はわかってる。どうにもならないことぐらい。でも、ローの重石になりたくない。ローにすがって突き放されたら、、、、、、考えたくもない。










甲板にでると、星がとても綺麗で。



「はぁ、、、」


思わずため息ーーー
冬特有の澄んだ空気に美しく光る彼女等が憎い。




あたしは素直じゃない。可愛げもない。そんなことは自分がよくわかってる。――俺についてこい、後悔はさせねぇ――

――俺が×××を守ってやるよ――

――×××、愛してる――







ローは沢山の言葉をくれたのに、あたしはただ頷くだけだった。


あの時、あなたについて行くと、あたしも愛してると、返していたなら違う未来があったかも知れないのに…――



輝く星たちと比べてあまりにも自分が惨めで、抱えた膝に頭を隠す。ほほを伝う涙は真冬の風で冷えきってしまった。









「ローの愛も冷えちゃったか」


自嘲気味に呟く。
溢れる涙は尽く冷え、いつしかあたしの心まで凍らせてしまった。









どれぐらい星を眺めていただろう。何人かのクルーに声をかけられたが何を言われたのか、誰に言われたのか記憶にない。



あたしはただひたすら星を見ていた。

限りなく無に近かった頭を働かし立ち上がろうとしたとき、ふと後ろの温もりを感じる。


と、同時に腰に回されていたソレに気づいた。




「っっ…―な、、何してるの?こんなに寒いのに、、」
















「ヒック、、、あたしのこと、、ヒッ、、き、っ嫌いじゃない?」






「あぁ」






「、、ヒッ、あたしのこと、、ヒック、、すき?」






「あぁ、愛してる」






「、ヒッ、、あたしのこと「なぁ、×××。俺はお前のことが嫌いでもねぇし、寧ろ愛しいと思ってる。」






「縛って閉じ込めて誰の目にも写したくないと思うほどに。


だが、そんなことをすればお前が悲しむ。俺はお前を悲しませたい訳じゃねぇ。


「お前の方こそ何してんだ。30分も前から暖めてやってんのに気づいてねぇとはな。―ククッ」






「星をね、見てたの。あまりにも綺麗だから、ローに気がつかなかった。」






「…――泣きながらか?」






「―――‥っ、泣いてなんて「俺を誤魔化せると思ったか?」」






「何回言えばわかる?俺の惚れた女はお前だけだ。何を不安がる?」






「だって、素直じゃないし可愛げもない。こんな女嫌でしょう?」






「だから、俺はそんなとこも含めてお前を愛してんだよ。いい加減解れ。」
だから、寛大な俺はお前をたった1つのそして最大の絆で結ぼうと考えたんだよ。」ほらよ と無理矢理目の前に持ってこさせられたあたしの左の指には、冬の冷たさとは違うものを感じる。





「これはな、この島でしか採れない石だ。色と見た目がマーガレットに似ていることから、マガシェリーと呼ばれるそうだ。


ここ数週間、お前に構ってやれなくてすまなかった。

宝石屋の主人がなかなか売ってくれなくてな。

なんでも海賊は専門外らしい。
全く、とんだゲイだぜ。
どうやら、どっかのバカは勘違いしちまったらしいな、クックックッ」






「バカですいませんねっ」






「まぁ、素直に嫉妬する良いもん見せてもらったがな。」



   マーガレット
    (愛の誠実)


ヒザを抱えて見上げた夜空に、輝くあたしの薬指








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