「ほら、見てロー。月が消えてく…」




「皆既月食か。珍しいな、こんなに綺麗に見えるのは」




「そう。月も太陽なしじゃ何もできないなんて、哀しいね」




「あぁ?そうか」



確かに月の光は哀しさを匂わすものが無いこともないが、、、いまいちピンとこない





「うん。そう。だって人は一人じゃいきられないでしょ?」




解りきったことを聞く×××。何が言いてぇんだ?





「でも、それは月も一緒ってこと。月は太陽がなければ、、ほらこんな風に真っ暗」





気がつけば、月は闇に消え、辺りは濃黒に染まっていた





「人間も、そして宇宙に浮かぶ月さえも、一人では生きていけないのに。太陽は違うの、太陽は一人っきり

誰かの力を借りることもなく、ただただ燃え続ける


自分は光を与えるだけで何も返ってくることはない

とても哀しいと思わない?」





なにかを憂いているような、哀しい声、瞳






「それとね、怖いの」






絞り出すような声に心臓が震える。×××が消えてしまいそうな気がした




「怖い、、、か」



「うん、、、いつか愛想をつかして離れてしまはないか――…

いつか、月や地球や…――私に飽きて、違う惑星を照らしに行くんじゃないかって、、」






「それは、ない」



何を杞憂しているのか、、、



「そもそも太陽は一人じゃねえ。太陽は地球を含めた惑星を誰にも渡さねぇようにとしっかり引っ張ってるじゃねえか?



たとえ、お前が離してくれと頼んだって手放す気はないだろうさ。


まったく我が儘な"奴"だよ」





そう言って冷えた体を抱き寄せ冷たい唇にキスをおとした







「ローの唇、あったかい」







天体観測をしよう





例え相手がだれだろうと、×××を離すわけがねぇだろ?








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