いったい何が悪かったのだろうか?




***



「お前は海列車に待機しておけ。ガレーラの職人など我々四人の兵力で十分だ」


「了解しました」








先ほどルッチから言い渡された命令を思い出す



彼なりの配慮…ではないことぐらい私でもわかる。

雑念を抱いた者−任務の遂行を妨げる者−は彼にとって邪魔なだけだ。そうした考え故の命令なのだろう、、







「ただいまお着きになりました!!」



外での仰々しいほどの出迎えの声にふと我にかえれば、明るかった空もうっすら影を帯びていた。








「お疲れさまです」



「ありがとう、×××」



お礼を言って私の差し出すコーヒーを口に運ぶカリファさん。


わしの分はないのか?とすねるカク。



優しく暖かな笑みを含んだ眼差しを向けるブルーノ。



相変わらず無口のルッチさん。

いつもの皆。いつもの光景。
誰も私がガレーラに行かなかったことを尋ねない。


ただ興味がないのか、、察してくれてるのか、、、


きっと後者なのだろう。みんな優しい人だから


だのに、私は我儘すぎる−…

微かに匂う鉄の薫りを、、
体に染み付いた見えない赤を、、心が拒絶してしまう



















海列車から見える荒れ狂う波は私の心を不安にさせた。

嗚呼、パウリー 貴方は無事なのだろうか、、

どこか満足げなルッチさんの表情からすると、、もしかしたらと思ってしまう。


でも、願わずにはいられないの。どうか無事で…どうか生きていて…と、、














***



「後部2車両切り離された!?あなた達は一体何をやってるの?!」





カリファの怒声で現実に引き戻された。どうやら侵入者に派手にやられてしまったらしい。



私たちに勝とうなど、無駄なのに 、、


戦いたくないとゆう私の意に反して始められたニコ・ロビン争奪戦。


つくづく可哀想な人たち、ニコ・ロビンに躍らされ、そのニコ・ロビンは政府に躍らされる。その事を麦わら達は知らない




そして、パウリーも知らないだろう。私がCP9の一人だと言うことは。そう、それでいい、それで










予想通り簡単にやられた彼らは海に消え去り静けさが辺りを包んだ***

「CP9がお着きに!!!」

「長期勤務ご苦労様でした!!」






やっと帰ってきた――


懐かしいとは感じない。心にぽっかり空いた穴は"我が家"に着いても埋まることはなかった

















いつも通りにバカ長官がコーヒーを溢し、クマドリさんが切腹の真似事をし、ジャブラがつっこむ。


ただ、それを見ていつも通りに笑えない、、、私が変わった証拠










「×××、なんか変わったチャパー。綺麗になったチャパパー」


「何ィ?×××男にでも現を抜かしてたんじゃねぇだろうな?」




ガハハと大笑するジャブラに一瞬にして固まったカクとカリファさん





「フクロウさん、ありがとうございます。ですが、私は変わりませんよ、、、それに綺麗なのはカリファさんの方がよっぽどです」





不安げな二人に大丈夫だと目で告げて、疲れたから、、、と自室に籠った。
***


いつのまにか眠っていたらしい。感じた違和感に、そうかここは不夜島だったと納得し、鳴り響く電電ムシをいらだしげに捕れば焦った長官の声が鼓膜を揺らした






















「生きたいっ」




私が集合場所に着いて真っ先に聞いた声

――ニコ・ロビンの心からの願い――


彼女は泣いていた。そりゃそうだろう。今まで望むことすら禁じられ、諦めかけていたことを口に出して言えたのだから




私は、、、そんな彼女が羨ましい。望みを口にすることのできた彼女が――…




私だって、、、私にだって、、言いたかった願いがあるのに…















「カク、私広場の応援にいくから」












遠くで制止する声が聞こえたけど私は構わず広場にでむいた




これ以上、ニコ・ロビンを見ていると自分が今まで堪えていたものがふき出しそうで仕方がなかった

***

広場は荒れに荒れていた。全く、もっと使える海兵はいないのか…



















「×××…、、、」














心臓を鷲掴みにする声――…


一番聞きたくて…一番聞きたくない声
















「×××、、そんなっ…、、嘘だと言ってくれよ――…なぁ、言えって、頼むからっ




っっ、そんな、、、お前もかよ――…」






私は何も言わない。いや、言えないんだ








「なぁ、、否定しろよっ…あいつらの仲間なんかじゃねぇって、、、、なぁ!!」






乱暴に肩を捕まれ、後ろに振り向かされた











正面で向き合ったパウリー。絶望と悲壮とを瞳に写し私に哀願するパウリー


















―てめぇ、道具の使い方がなってねぇ。貸してみろ―




―んな、仕事が休みだからってカリファみてぇな恰好すんじゃねぇ!!ハレンチだっ―




―大丈夫か?熱でたって…。ほら林檎食え―







私がみていたパウリーはいつも仕事熱心で少し短いスカートだけで顔を真っ赤にして、いつも私を気遣ってくれて――…。


そう言えば、あのときの林檎の不恰好さといったら、、、。







それで、それで…――






―なぁ×××、お前気づいてっかも知れねぇが、俺はお前のことを、、、そのっ、、あれだよ…、うん。一回しか言わねぇからな、、。あ、、あいしてる―






嗚呼、そうだ。精一杯の、、等身大の愛をくれた。
yesと答えない私に、yesと答えられない私に


いつも、、いつも。





だのに私は彼を哀しませることしかできない



彼を傷つけることしかできない











「ええ、私もよ。パウリー」







少女は世界の理を知る






彼は返事をどう受け止めただろう






伝わっていてくれとは望まない
だって私は知ってしまった



がどんな困難も乗り越えるなんてのは、







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