「あたしは、みんなほど危険な目にあったことはないわ。だから、今から話すのは、人から聞いた話よ
その国に住む多くの人が魔法を操れたらしいの。魔法が使えればなんでもできた。それこそ、空を飛んだり猫に化けたりね。
いい魔法使いもいた。でも、そうでない人もいた。
悪い魔法使いは、不老不死になってその国を牛耳ろうとした。
それを止めようと、戦争が起こった。戦争は悪い魔法使いの敗北、という形で幕を閉じた。
多くの人が死に、多くの悲しみが生まれた。それでもその国は今、立ち直ろうとしているーらしいわ」
「っぶーーっ!!そりゃ嘘っぱちだぜ」
「空をとぶ?変身? そいつぁ、能力者にちげえねえ」
「そうじゃなきゃ、バケモンだぁ!がはは」
話し終えたあと、それぞれが感想を口にし出す。みんな、あたしの話を信じてないみたい
バケモノ、、、か。幼いときの記憶が甦り胸が苦しくなる。それをごまかすかのように
「そ、そうよねー。全く、騙されたわ。ま、あり得ないだと思ったけれど。それはそうと、他の人のはなしに興味があるわ。誰でもいいから話してよ」
自分から話題をそらせたかったので、違う方に話をふる。すると、まっていたかのように次々に話し出すクルー。
やっぱり、あたしの世界はここじゃない。
魔法を、あたしを、バケモノ扱いする世界は一つで十分だったのに。