「なぁ、イゾウ。おめぇどう思うよい」
自室に訪れた珍しい客は、これまた珍しい台詞を吐いてきた。
何を、と聞かなくてもマルコが言いたいのはあの女のことだとは察しがつく
おおかた、女を部屋につれたあと直行でこちらに来たのだろう
「どうと言われてもなぁ。俺が見たのは、まるで狼に怯える子羊だ。よっぽど狼が恐いようだったね」
ゆるりと煙草をふかしながら、目を細めてマルコをみやる
「はん、嫌味ならあとで聞くよい。だいたいあれで37だとよい。」
どうやら、思い当たる節があるとみた
どすっと音をたてながら床に座ったマルコに、目線をあわせながら尋ねた
「お前さん、その話信じてんのかい?」
「まさか、誰が他所者を信じるかよい。」
予想通りの返事に思わず笑ってしまう
「俺としても、微妙だな。顔と年齢は一致するが、中身が伴わねぇ。」
ふーっ、とまた煙草を思いきりふかし考えに浸る
そう。そこなんだ
顔はどう見ても40手前で間違いない、、
だが、新世界を一人で旅し、オヤジの覇気をものともしない奴と、先程あった女とがどうしてもしっくりこねぇ
なんつうか、違うんだよな
オヤジの覇気をはねのけるぐらいならいくつもの死線を掻い潜ってきた過去があるはず
しかし、あいつからはそんなにおいはしない
だから、マルコも戸惑い、警戒してんだろうねぇ
部屋に座り込む我が一番隊隊長を見てしみじみ思うのは、こいつの家族に対する思い
いかなる脅威も見逃さない鋭い眼差し
はてさて、あの女が脅威となるか、、、、
「なぁ、マルコ。暫く様子見ってことでいいんじゃねぇか?」
気ぃはらずに、ゆっくりいこうぜ、長男坊よ